「看護師と准看護師って、何が違うの?」 「准看護師から看護師になったほうがいい?」
同じ職場で働いていると、看護師と准看護師の仕事はほとんど変わらないように見えることもあります。けれど、資格の種類や免許の与えられ方、給料、キャリアの広がり方にははっきりした違いがあります。
この記事では、看護師と准看護師の違いを次の流れで整理しました。
- 資格・免許の違い
- 業務の範囲と、現場での役割の違い
- なるまでの道のりと、給料の違い
- 准看護師から看護師になる方法
- どちらを目指すか迷ったときの考え方
看護師と准看護師の違いを一覧で比較
まずは、おもな違いを表で確認してみましょう。
| 項目 | 看護師 | 准看護師 |
|---|---|---|
| 資格の種類 | 国家資格 | 都道府県知事の免許による資格 |
| 免許を与える人 | 厚生労働大臣 | 都道府県知事 |
| 試験 | 看護師国家試験 | 准看護師試験(都道府県ごと) |
| 業務 | 療養上の世話、診療の補助 | 医師・歯科医師・看護師の指示を受けて、療養上の世話、診療の補助 |
| 養成期間の目安 | 3年以上(大学は4年) | 2年 |
| 平均の月給(令和6年) | 約36万3,500円 | 約29万4,300円 |
いちばん大きな違いは、免許を与える人と、業務の進め方です。それぞれ詳しく見ていきます。
資格・免許の違い
保健師助産師看護師法では、看護師は「厚生労働大臣の免許を受けて」働く人、准看護師は「都道府県知事の免許を受けて」働く人という位置づけです。看護師は国家試験に合格して免許を受けるのに対し、准看護師は都道府県が行う准看護師試験に合格して免許を受けます。
よく使われる「正看護師」という言葉は、法律上の名前ではありません。准看護師と区別するために、看護師のことをそう呼んでいる表現です。
業務の範囲の違い
法律上、看護師も准看護師も、療養上の世話と診療の補助を行うという点は変わりません。違うのは、准看護師が「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」業務を行うと定められていることです。
現場では、看護師と准看護師が同じように検温や処置、与薬を担当していることも多いでしょう。ただし、次のような場面では違いが出てきます。
- 看護計画やリーダー業務:看護師が担当する職場が多い
- 管理職への昇進:主任や看護師長などは、看護師であることを条件にしている病院が多い
- 特定行為研修や認定看護師:看護師の免許をもっていることが前提になる
- 保健師・助産師:看護師国家試験に合格していることが必要
また、病院の入院料の中には、看護職員のうち看護師が占める割合が基準になっているものも少なくありません。急性期の病院で看護師の採用が優先されやすいのは、こうした仕組みも関係しています。
なるまでの道のりの違い
看護師になるには
看護師国家試験を受けるには、看護系の大学(4年)、短期大学(3年)、看護師養成所(3年)などで必要な学科を修めなければなりません。高校の5年一貫教育の看護科を卒業するルートもあります。
准看護師になるには
准看護師試験を受けるには、准看護師養成所などで2年間学ぶのが一般的です。高校の衛生看護科を卒業して受験するルートもあります。
看護師より短い期間で資格を取れるため、働きながら学びたい人や、早く現場に出たい人が選ぶことが多い道です。
給料の違い
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和6年、企業規模10人以上)をもとにまとめると、看護師と准看護師の給料には次のような差があります。
| 項目 | 看護師 | 准看護師 |
|---|---|---|
| きまって支給する現金給与額(月) | 36万3,500円 | 29万4,300円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 83万5,000円 | 64万100円 |
| 年収の目安(月給×12+賞与) | 約520万円 | 約417万円 |
年収の目安で比べると、およそ100万円の差になりました。ただし、年齢や勤続年数、勤務先の規模によっても金額は変わるため、あくまで全体の傾向として見てください。
同じ職場で同じような仕事をしていても、基本給や資格手当で差がつけられていることが多いものです。長く働くほど、この差は大きくなっていくでしょう。
准看護師から看護師になる方法
准看護師の免許をもっている人は、2年課程の看護師養成所や短期大学で学ぶと、看護師国家試験の受験資格を得られます。大阪府がまとめている資料をもとに整理すると、おもなルートは次のとおりです。
| 課程 | おもな入学資格 | 修業年限 |
|---|---|---|
| 2年課程(全日制・定時制) | 高校を卒業した准看護師、または中学校卒業で准看護師として3年以上の実務経験がある人 | 2年以上 |
| 2年課程(通信制) | 准看護師の免許を取得したあと、5年以上の実務経験がある人 | 2年以上 |
通信制の課程なら、働きながら看護師を目指しやすくなります。入学試験の内容や学費、実習の方法は学校によって違うため、気になる学校の募集要項を確認しておきましょう。職場によっては、進学を支援する奨学金制度を用意しているところもあります。
准看護師の将来性は?
日本看護協会は、准看護師の養成をやめて、看護師の養成に一本化することを求める立場です。准看護師の養成所の数も減ってきており、地域によっては新しく准看護師を目指せる学校が少なくなっています。
一方で、クリニックや介護施設など、准看護師が活躍している職場は今も少なくありません。すぐに仕事がなくなるわけではありませんが、キャリアの選択肢を広げたいなら、看護師の資格を目指す価値は大きいといえます。
看護師と准看護師、どちらを目指す?
これから看護の道に進む人と、すでに准看護師として働いている人では、考え方が少し違ってくるでしょう。
これから資格を取る人
時間や学費に大きな制約がなければ、最初から看護師を目指すのがおすすめです。給料の面でも、働ける職場や将来のキャリアの面でも、選べる道が広くなります。
すでに准看護師として働いている人
今の働き方に満足していれば、無理に進学する必要はありません。ただ、「管理職を目指したい」「認定看護師などの資格に挑戦したい」「急性期の病院で働きたい」と考えているなら、看護師の資格を取ることで道が開けます。ほかの資格についても知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
関連記事:看護師におすすめの資格、続ける人向け・看護師以外も考える人向けに分けて紹介
関連記事:保健師と看護師の違いとは?役割・資格・仕事内容・給料を比較、どっちがいいかの考え方
看護師と准看護師の違いについてよくある質問
Q. 准看護師は看護師の指示がないと何もできないのですか? A. そういうわけではありません。法律上は医師や看護師の指示を受けて業務を行うと定められていますが、実際の現場では、決められた手順や指示のもとで、多くの業務を自分で担当しています。
Q. 准看護師の免許は全国で使えますか? A. 全国どこでも有効です。都道府県知事から免許を受けますが、免許を取った都道府県以外でも准看護師として働けます。
Q. 准看護師から看護師になるのに年齢制限はありますか? A. 法律上の年齢制限はありません。社会人になってから進学して、看護師の資格を取る人も多くいます。学校ごとの入学条件は募集要項で確認してください。
Q. 看護師と准看護師で、できる仕事に差がありますか? A. 療養上の世話や診療の補助という業務の内容は、法律上は同じです。ただし、准看護師は指示を受けて業務を行う立場で、リーダー業務や管理職、特定行為研修などは看護師が前提になることが多くなっています。
まとめ
看護師と准看護師の違いは、免許を与える人と、業務の進め方にあります。現場の仕事は似ていても、給料や昇進、資格の取りやすさには差が出やすいのが実情です。
これから資格を取るなら看護師を、すでに准看護師として働いているなら、自分がどんな働き方をしたいかを考えて進学を検討してみてください。どちらを選んでも、看護の経験は確かな力になります。