「スキルアップのために、何か資格を取ったほうがいいのかな」 「看護師以外の仕事も気になるけれど、役に立つ資格はある?」
看護師として働いていると、一度はこんなふうに考えるのではないでしょうか。
看護師がプラスで取れる資格はたくさんあり、どれがおすすめかは、この先も看護師を続けるのか、看護師以外の道も考えるのかで変わります。
この記事では、看護師におすすめの資格を次の2つに分けて紹介します。
- 看護師を続ける人向け:認定看護師、専門看護師、特定行為研修、保健師・助産師、ケア系の専門士など
- 看護師以外も考える人向け:キャリアコンサルタント、メディカルアロマ、医療事務系など
制度の内容は、日本看護協会や厚生労働省の公式サイトで確認できたことだけを書いています。費用や合格率は年度や団体によって変わるため、受講・受験を考えるときは、必ず各団体の最新情報を確かめてください。
看護師が資格を取るメリットと、先に考えたいこと
資格取得のメリット
看護師がプラスの資格を取るメリットは、主に次のとおりです。
- 特定の分野の専門知識や技術を、体系立てて学べる
- 院内で専門性を活かした役割(相談役、教育担当など)を任されやすくなる
- 転職のときに、学んできたことを具体的に伝えられる
- 看護師以外の仕事を考えるとき、次の一歩のきっかけになる
一方で、資格を取っただけで給料が上がる、希望の職場に必ず入れる、というわけではありません。手当の有無や評価のされ方は、病院や施設によって違います。
「何のために取るか」を先に決める
資格選びで迷ったら、まず「5年後にどんな働き方をしていたいか」を考えてみてください。
| 目指す働き方 | 相性のよい資格の方向性 |
|---|---|
| 今の分野を深めたい | 認定看護師、専門看護師、特定行為研修 |
| 地域や在宅で働きたい | 保健師、ケアマネジャー、ケア系の専門士 |
| 急変対応に自信をつけたい | BLS・ACLSなどの救命講習 |
| 看護師以外の仕事も考えたい | キャリアコンサルタント、医療事務系など |
わたしは看護師を約14年続けたあと、2025年に一般企業へ転職しました。看護師時代は、朝4時ごろに起きて副業と勉強の時間を作っていた時期があります。働きながら学べる時間は限られます。目的をはっきりさせてから選ぶと、限られた時間を無駄にしにくくなります。
看護師を続ける人におすすめの資格1:認定看護師
認定看護師とは
認定看護師は、特定の看護分野で、熟練した看護技術と知識を持つ看護師として、日本看護協会が認定する資格です。役割は「実践」「指導」「相談」の3つで、現場で水準の高い看護ケアを行いながら、ほかの看護職への指導や相談にも対応します。
受験資格と教育課程
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免許 | 日本の看護師免許を持っていること |
| 実務経験 | 看護師免許取得後、通算5年以上。そのうち通算3年以上は、目指す認定看護分野での経験 |
| 教育 | 認定看護師教育機関(A課程またはB課程)を修了していること |
| A課程 | 特定行為研修を組み込まない課程。6カ月以上1年以内、600時間以上 |
| B課程 | 特定行為研修を組み込む課程。1年以内、800時間程度(別に特定行為研修の実習時間が加わる) |
| 認定審査 | 年1回。合格後の資格の有効期間は5年で、5年ごとに更新審査がある |
※出典:日本看護協会「認定看護師」
向いている人
- 感染管理、認知症看護、緩和ケアなど、深めたい分野がはっきりしている人
- 現場での実践を続けながら、スタッフ教育にも関わりたい人
教育機関に通う期間は、仕事との両立が大きな課題になります。勤務先に資格取得の支援制度があるか、休職や勤務調整ができるかを、事前に上司や事務部門に確認しておきましょう。
看護師を続ける人におすすめの資格2:専門看護師
専門看護師とは
専門看護師は、複雑で解決が難しい看護の問題を持つ個人・家族・集団に、水準の高い看護ケアを提供する看護師です。日本看護協会が認定審査を行い、日本看護系大学協議会と連携して制度が運営されています。
役割は次の6つです。
- 実践:個人・家族・集団に卓越した看護を提供する
- 相談:看護職を含むケア提供者の相談に応じる
- 調整:保健医療福祉に関わる人たちの連携を調整する
- 倫理調整:倫理的な問題や葛藤の解決を図る
- 教育:看護職のケアの質を高めるための教育を行う
- 研究:実践の場で研究を行い、専門知識・技術を発展させる
受験資格
- 日本の看護師免許を持っていること
- 看護系大学院の修士課程を修了し、専門看護師教育課程の所定の単位を取得していること
- 看護師免許取得後、実務経験が通算5年以上あり、そのうち3年以上は専門看護分野の経験であること
資格の有効期間は5年で、5年ごとに更新が必要です。
※出典:日本看護協会「専門看護師」
認定看護師との違い
ざっくり言うと、認定看護師は現場での実践に、専門看護師は実践に加えて調整・倫理調整・研究など、組織や多職種をまたぐ役割に重きがあります。専門看護師は大学院での学びが必要なため、準備期間も長めに見ておくと安心です。
看護師を続ける人におすすめの資格3:特定行為研修・保健師・助産師
特定行為研修
特定行為は、医師の指示のもと、手順書によって看護師が行う診療の補助のうち、高度で専門的な知識と技能が特に必要とされる38の行為です。
特定行為研修は、すべての特定行為区分に共通する「共通科目」と、区分ごとの「区分別科目」で構成されています。講義や演習は、通信教育の方法で行えることも定められています。
これは「資格」というより研修の修了ですが、医師との連携の中で、患者さんの状態を見て自分で判断する場面が増えます。急性期や在宅など、タイムリーな対応が求められる現場で活かしやすい学びです。認定看護師のB課程には、この特定行為研修が組み込まれています。
保健師・助産師
保健師と助産師は、看護師と同じく国家資格です。どちらも国家試験を受けるには、文部科学大臣の指定した学校で1年以上必要な学科を修めるか、都道府県知事の指定した養成所を卒業するなどの条件があります。
※出典:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」(第19条・第20条)
保健師は行政や企業の産業保健、助産師は産科やお産の現場など、働く場所の選択肢が広がります。一方で、学校に通う期間は仕事を続けにくいため、お金と生活の見通しを立ててから考えるのがおすすめです。
看護師を続ける人におすすめの資格4:ケア系・救命系の民間資格
認定看護師や専門看護師ほどの準備期間がなくても、働きながら挑戦しやすい資格・講習もあります。多くは学会や民間団体が実施しているもので、受験資格や費用は団体ごとに違います。
| 資格・講習 | 学べること・活かしやすい場面 |
|---|---|
| BLS・ACLSなどの救命講習 | 急変時の対応。病棟・外来・救急など幅広い現場 |
| 3学会合同呼吸療法認定士 | 呼吸療法の知識。呼吸器内科・ICUなど |
| 消化器内視鏡技師 | 内視鏡検査・治療の介助。外来や内視鏡室 |
| 認知症ケア専門士 | 認知症の患者さんとご家族へのケア。病棟・介護施設・在宅 |
| 終末期ケア専門士 | 終末期の患者さんとご家族の支援。緩和ケア・訪問看護・介護施設 |
| ケアマネジャー(介護支援専門員) | 介護保険のケアプラン作成。地域・在宅での多職種連携 |
ケアマネジャーをはじめ、どの資格も受験には実務経験などの条件が決められていることがあります。申し込む前に、実施団体や都道府県の公式の案内で最新の条件を確認してください。
わたしは呼吸器内科・呼吸器外科がメインの病棟で働いていた時期があります。患者さんの表情や検査結果、症状から「今何が起きているか」をアセスメントするのが好きでした。今の業務で「もっと知りたい」と感じている分野があるなら、それが資格選びのいちばんの手がかりになります。
関連記事:看護師がアロマの資格を取るメリットは?資格の種類と活かし方・講座の選び方
看護師以外も考える人におすすめの資格
看護師以外の仕事も視野に入れるなら、看護の経験と組み合わせやすい資格を選ぶと、次の仕事につなげやすくなります。ここでは概要だけを紹介します。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、働く人の職業選択やキャリアの相談に乗る国家資格です。登録しないと「キャリアコンサルタント」と名乗ることはできません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格(いずれか) | 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了/労働者の職業の選択などに関する相談の経験が3年以上/技能検定キャリアコンサルティング職種の学科または実技試験に合格 など |
| 登録 | 試験に合格したあと、指定登録機関(キャリアコンサルティング協議会)に登録する |
| 更新 | 5年ごとに更新が必要。更新には一定時間以上の講習の受講が必要 |
患者さんやご家族の話を聞き、思いを整理して支援する経験は、キャリア相談の場面とも重なります。看護師のキャリア支援や、医療職の人事・教育などに関わりたい人に向いています。
メディカルアロマ
アロマ(精油)の知識を、医療や介護、セルフケアに活かすための資格です。民間団体が検定や資格を設けていて、内容や難易度は団体ごとに違います。リラクゼーションの仕事や、副業でのセミナー・講師業などに興味がある人が選ぶことが多い分野です。
医療事務系の資格
医療事務には、民間団体が実施する検定や資格がいくつかあります。レセプト(診療報酬明細書)や受付業務の知識を学べるので、夜勤のない働き方を考えている人や、医療の現場に関わり続けたい人の選択肢になります。病棟での経験があると、診療の流れや医療用語を理解しやすい点は強みです。
資格より先に「仕事を試す」という道もある
看護師以外の仕事を考えるとき、資格は「入り口」の一つにすぎません。わたしの場合は、看護師(常勤)を続けながら副業でライターの仕事を始め、業務委託で関わった会社でディレクターやコンサルの仕事も任せてもらえるようになりました。その経験から、2024年12月に病院を退職し、2025年1月にその会社へ正社員として入社しています。
今はSEOコンサルタントとして働いていますが、看護師時代のアセスメント力は課題分析に、段取り力はプロジェクトを進める力に役立っています。資格に加えて、看護の経験そのものも、ほかの仕事で活かせるスキルです。
関連記事:看護師におすすめの副業|資格を活かす仕事・在宅でできる仕事と始める前の注意点 関連記事:看護師から一般企業へ転職するには|仕事の種類・求人の探し方・後悔しない進め方
資格を選ぶときのチェックリスト
申し込む前に、次の点を確認しておくと失敗を減らせます。
- ☐ 取った後に、どんな業務や働き方につなげたいかが言える
- ☐ 受験資格(実務経験の年数や分野)を満たしている、または満たす見通しがある
- ☐ 講習日・試験日が、夜勤を含むシフトと両立できる
- ☐ 通学が必要か、通信やeラーニングで学べるかを確認した
- ☐ 勤務先に資格取得の支援制度(費用補助、勤務調整など)があるか確認した
- ☐ 費用と、学ぶ期間の生活の見通しを立てた
- ☐ 更新が必要な資格の場合、更新の条件も確認した
特に認定看護師や保健師・助産師のように、教育機関に通う期間が長いものは、家族とも相談しておくと安心です。子育て中の人は、学ぶ時間をどこで作るかを先に決めておくと続けやすくなります。
よくある質問
Q. 看護師のスキルアップにいちばんおすすめの資格は何ですか? A. 目的によって違います。今の分野を深めたいなら認定看護師や専門看護師、急変対応に自信をつけたいならBLS・ACLSなどの救命講習、在宅や地域で働きたいならケアマネジャーやケア系の専門士が候補になります。
Q. 働きながら取れる資格はありますか? A. 救命講習やケア系の専門士など、働きながら挑戦しやすいものがあります。特定行為研修も、講義や演習を通信教育の方法で行えることが定められています。ただし、実習や試験の日程は勤務と調整が必要です。
Q. 資格を取れば給料は上がりますか? A. 資格手当の有無や金額は勤務先によって違います。取得を考えている場合は、勤務先の就業規則や事務部門で確認してみてください。
Q. 看護師以外の仕事に移るなら、資格は必須ですか? A. 必須とは限りません。仕事によっては、資格よりも実務の経験が重視されることもあります。副業や業務委託で実際に仕事を試してみるのも一つの方法です。
Q. 認定看護師と専門看護師、どちらを目指せばいいですか? A. 現場での実践を中心に専門性を深めたいなら認定看護師、大学院で学び、多職種の調整や研究まで担いたいなら専門看護師が向いています。どちらも看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験が必要です。
まとめ:資格は「この先の働き方」から選ぶ
- 看護師におすすめの資格は、「看護師を続ける」か「看護師以外も考える」かで変わる
- 看護師を続けるなら、認定看護師・専門看護師・特定行為研修・保健師・助産師、ケア系や救命系の資格が候補
- 看護師以外も考えるなら、キャリアコンサルタント、メディカルアロマ、医療事務系などが候補
- 受験資格・期間・費用は資格ごとに違うので、申し込む前に公式の情報で確認する
- 資格だけでなく、副業などで仕事を試すという道もある
資格は、取ること自体がゴールではありません。「この資格でどんな働き方をしたいか」を考えてから選ぶと、学ぶ時間もこの先のキャリアにつながりやすくなります。
看護師を続けるか迷っている人は、こちらの記事も参考にしてください。