「夜勤のない事務職で、落ち着いて働きたい」 「でも、看護師の経験しかない自分が事務職に転職できるのかな」
そんなふうに迷っていませんか。
わたしは新卒から約14年、同じ病院で看護師として働き、2024年12月に退職しました。今は一般企業で、SEOコンサルタントとして働いています。事務職として働いた経験はありませんが、看護師から病院の外の仕事に移った一人として、看護師から事務職を目指す人が知っておきたいことをまとめました。
先に結論を書くと、看護師から事務職への転職はできます。ただし「事務職」とひとことで言っても、医療事務・一般事務・医療系企業の事務では、仕事内容も看護師の経験の活かし方も違います。まずは種類の違いを知り、自分に合う事務職を選ぶところから始めましょう。
看護師から事務職への転職はできる?
看護師から事務職への転職は可能です。求人サイトでも「看護師資格が活かせる事務」「未経験OK」といった事務職の求人が見つかります。
ただ、看護師から事務職に移るときは、次の点を知っておく必要があります。
- 事務職の多くは、看護師資格がなくても応募できる仕事なので、応募者の中で「未経験の一人」として見られることがある
- パソコンでの入力や書類の作成、電話対応など、病院とは違うスキルを求められる
- 看護師の資格や医療の知識を評価してもらえるのは、主に医療機関や医療系の企業の事務
「とにかく夜勤から離れたい」だけで動くと、入ってから「思っていた仕事と違った」と感じやすくなります。どんな事務職があるのかを、先に整理しておきましょう。
事務職の種類と仕事内容の違い
看護師が目指しやすい事務職は、大きく3つに分けられます。
| 種類 | 主な職場 | 主な仕事内容 | 看護師の経験の活かしやすさ |
|---|---|---|---|
| 医療事務 | 病院、クリニックなどの医療機関 | 受付、会計、診療報酬の請求(レセプト)、カルテの管理 | 医療用語や院内の流れが分かるので活かしやすい |
| 一般事務 | さまざまな業界の企業 | 書類の作成、データの入力、電話・来客対応、備品の管理 | 医療の知識より、段取りや正確さが評価される |
| 医療系企業の事務 | 製薬会社、医療機器メーカー、治験に関わる企業、健康関連サービスの企業など | 営業や専門職のサポート、資料の作成、問い合わせ対応 | 医療の知識と事務の両方を活かせる |
医療事務
病院やクリニックで、受付・会計・診療報酬の請求などを担当する仕事です。レセプト(医療機関が保険者に医療費を請求するための明細書)の作成は、医療事務の大事な業務の一つです。
看護師にとっては、医療用語や病棟・外来の流れが分かるのが強みです。一方で、診療報酬の請求の仕組みは看護師の業務とは別の知識なので、入ってから覚えることもあります。患者さんと接する場面はありますが、立場は看護師ではなく事務スタッフになります。
一般事務
業界を問わず、会社の中で書類の作成やデータの入力、電話・来客対応などを担当する仕事です。デスクワークが中心で、土日休みの職場も多くあります。
一般事務では、看護師の経験そのものより「正確に、期限どおりに仕事を進める力」が見られます。経理事務・営業事務・総務事務など、担当する部署によって業務内容が変わるのも特徴です。
医療系企業の事務
製薬会社や医療機器メーカー、治験に関わる企業などで、営業や専門職のサポートをする事務職です。求人によっては、「看護師資格が活かせる」「医療の知識がある方歓迎」と書かれているものもあります。
医療の現場を知っていることが、資料づくりや問い合わせ対応で役立ちやすい仕事です。事務職の中でも、看護師の経験を活用しやすい職場と言えます。
看護師資格そのものを使う企業の仕事(健康管理室や治験コーディネーターなど)については、こちらの記事にまとめています。
関連記事:看護師から一般企業へ転職するには|仕事の種類・求人の探し方・後悔しない進め方
看護師から事務職に転職するメリット・デメリット
メリット
- 夜勤がなくなり、生活リズムが整いやすい
- 日勤・土日休みなど、勤務時間が決まっている職場が多い
- 立ち仕事や移乗などの体への負担が減る
- 人の命を直接預かるプレッシャーから離れられる
- パソコンや事務のスキルなど、病院の外でも通用する経験が積める
わたしは病棟にいたころ、3交代で多いときは月8回の夜勤がありました。仮眠をとっても異常な眠気に襲われることがあり、命を預かる立場として危機感を抱いていました。夜勤のない働き方を求めて事務職を考える気持ちは、よく分かります。
デメリット
- 夜勤手当がなくなるぶん、給与や年収が下がることがある
- 未経験の職種として、一から仕事を覚える必要がある
- 長時間のデスクワークが合わない人もいる
- 「患者さんのそばで看護をする」というやりがいからは離れる
- 看護師に戻るときに、臨床から離れていた期間ができる
年収は、職種・企業・地域・雇用形態によって大きく変わります。応募する前に、求人票の給与や賞与、手当の条件を確認し、生活できるかを計算しておきましょう。
看護師の経験を事務職で活かす方法
「看護師の経験は事務職では役に立たないのでは」と不安に思う人もいますが、看護師の仕事で身につけた力は、事務の現場でも活かせます。
| 看護師の経験 | 事務職で活かせる場面 |
|---|---|
| 時間を逆算して動く段取り | 複数の業務を締め切りまでに進める |
| 記録・申し送り | 正確な入力、書類の作成、引き継ぎ |
| 医師・患者さん・家族との調整 | 社内外の担当者との連絡や電話対応 |
| ダブルチェックなどの確認の習慣 | 入力ミスや書類の漏れを防ぐ |
| 患者さんへの説明 | 来客・問い合わせへの分かりやすい説明 |
| 医療用語・病院の仕組みの知識 | 医療事務、医療系企業の事務 |
わたしは事務職ではありませんが、看護師時代の段取りの力は、今の会社でプロジェクトを進める仕事に役立っています。患者さんの状態から何が起きているかを考えるアセスメントの考え方も、課題を分析する仕事と似ていると感じています。職種は違っても、「看護師として当たり前にやっていたこと」が、病院の外では強みになることがあります。
看護師から事務職への転職の進め方
1. 事務職を目指す理由を整理する
まず、「なぜ事務職なのか」を書き出してみましょう。夜勤がつらい、体力的にきつい、子育てや親の介護と両立したいなど、理由によって選ぶべき事務職も変わります。
辞めたい理由が「今の職場」にあるなら、看護師のまま夜勤のない職場に移る方法もあります。わたしも辞めるまでは、「看護師として別の職場に移り、副業のライターを続ける」を第一候補に考えていました。
関連記事:看護師を辞めたい人へ|14年働いた元看護師が「続ける・辞める」の判断軸を解説
2. どの事務職を目指すかを決める
医療の知識を活かしたいなら医療事務や医療系企業の事務、医療から離れたいなら一般事務、というように方向性を決めます。勤務時間、休み、給与、通勤時間など、希望する条件にも優先順位をつけておきましょう。
3. 必要なスキル・資格を確認する
事務職の多くは、応募に特定の資格を必要としません。ただ、求人によっては、医療事務の資格やパソコンのスキルを「歓迎」「必須」としているものもあります。
- パソコンのスキル:WordやExcelでの入力・書類の作成は、どの事務職でも使う場面が多いです
- 医療事務の資格:民間の検定・資格がいくつかあります。学んでおくと、レセプトの仕組みを理解しやすくなります
- ビジネスマナー:電話対応やメールの書き方など、病院とは違う作法があります
資格を取るかどうかは、応募したい求人の条件を見てから決めると、ムダが少なくなります。
4. 求人を探す
事務職の求人は、一般の転職サイト、転職エージェント、ハローワーク、派遣会社などで探せます。看護師資格を活かせる医療系の事務の求人は、看護師専門の転職サービスで扱っていることもあります。
わたしは転職サイトやエージェントを使わずに転職しました。看護師を続けながら副業でライターの仕事を始め、業務委託として関わった会社に、のちに正社員として入社しています。辞める前に、副業や業務委託で病院の外の仕事を経験できました。
一方で、ひなたの友人(看護師)は、転職エージェントにいくつか登録して転職先を決めました。担当者との相性が結構重要だと感じたこと、担当者からいろいろな職場の話を聞けたことがすごくポジティブだったことを話していました。友人は事務職ではなく病院の外来を選んでいますが、ひとりで決めきれないときは、話を聞いてもらう選択肢もあります。
5. 応募書類を事務職向けに書き直す
看護師の職務経歴書は、配属された病棟や経験した処置を並べることが多いです。事務職に応募するときは、それだけでは伝わりにくくなります。
- 看護の専門用語は、一般の人にも分かる言葉に言い換える
- 記録、調整、業務の改善、後輩の指導など、事務の仕事に近い経験を前に出す
- パソコンで行っていた業務(電子カルテの入力、委員会の資料づくりなど)があれば具体的に書く
6. 面接で聞かれることを準備する
看護師から事務職への面接では、「なぜ看護師を辞めるのか」「なぜ事務職なのか」をよく聞かれます。退職理由は本音を大切にしつつ、「次に何をしたいか」で締めくくれるように準備しておきましょう。
看護師から事務職への志望動機の考え方と例文
志望動機は、次の3つの流れで考えると組み立てやすくなります。
- なぜ事務職なのか(看護師の仕事で気づいたこと、これからの働き方)
- なぜこの職場なのか(その医療機関・企業を選んだ理由)
- 看護師の経験をどう活かすか(入職後にできること)
「夜勤がつらいから」「楽そうだから」だけを伝えると、仕事への意欲が伝わりにくくなります。看護師の経験と、事務職でやりたいことをつなげて話すのがコツです。
例文1:医療事務
「病棟で看護師として働く中で、受付や会計、請求などの事務の仕事が、患者さんの安心や病院の運営を支えていると感じるようになりました。看護師として身につけた医療用語の知識や、患者さんへの分かりやすい説明を活かし、事務の立場から患者さんが安心して受診できる環境づくりに関わりたいと考え、志望しました。」
例文2:一般事務
「看護師として、記録や申し送り、医師や他職種との調整を毎日行ってきました。時間を逆算して複数の業務を進める段取りや、確認を重ねてミスを防ぐ習慣は、事務の仕事でも活かせると考えています。今後は長く安定して働ける環境で、正確な事務処理を通して会社を支えたいと考え、志望しました。」
例文3:医療系企業の事務
「看護師として医療の現場で働いた経験を、別の形で医療に役立てたいと考えています。貴社の製品やサービスが現場でどのように使われているかを、看護師の立場で見てきました。その経験を活かし、営業担当の方のサポートや問い合わせ対応で、医療機関とのやりとりを支えたいと考え、志望しました。」
例文はそのまま使わず、自分の経験に合わせて書き換えてください。志望動機の書き方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:看護師の転職の志望動機の書き方|職場別の例文と履歴書・面接で伝えるコツ
事務職に向いている人・転職前に確認したいこと
事務職に向いている人
- 長時間のデスクワークが苦にならない
- 細かい確認や、同じ作業をコツコツ続けることが得意
- 締め切りに合わせてスケジュールを管理できる
- 電話やメールでのやりとりに抵抗がない
- 新しいソフトやルールを覚えることを楽しめる
転職前に確認したいこと
- 辞めたい理由は「看護の仕事」なのか、「今の職場や働き方」なのか
- 給与が下がった場合でも、生活費をまかなえるか
- 雇用形態(正社員・契約社員・派遣・パート)と、その条件
- 研修や教育の体制があるか(未経験の人が多い職場かどうか)
- 将来、看護師に戻る可能性があるか
「看護の仕事そのものは嫌いではない」と感じるなら、事務職ではなく、日勤のみのクリニックなど、看護師のまま働く場所を変える選択肢も比べてみてください。
よくある質問
Q. 看護師から事務職になるには、資格が必要ですか? A. 事務職の多くは、特定の資格がなくても応募できます。ただし、求人によっては医療事務の資格やパソコンのスキルを条件にしているものもあるので、応募したい求人を確認してから準備するのがおすすめです。
Q. 看護師資格は事務職で活かせますか? A. 医療事務や医療系企業の事務では、医療の知識や現場の経験が評価されることがあります。求人票に「看護師資格が活かせる」と書かれている事務職もあります。一般事務では、資格そのものより、段取りや調整の力が評価されやすいです。
Q. 看護師から事務職に転職すると年収は下がりますか? A. 夜勤手当がなくなるため、下がることもあります。年収は職種・企業・雇用形態によって変わるので、求人票の給与や賞与の条件で確認してください。
Q. 事務職に転職したあと、看護師に戻ることはできますか? A. 看護師の免許があれば、戻ることはできます。ブランクが気になる場合は、復職支援の研修などを行っている医療機関や自治体を調べてみましょう。
まとめ
- 看護師から事務職への転職はできるが、医療事務・一般事務・医療系企業の事務で仕事内容や活かせる経験が違う
- 段取り、記録、調整、確認の習慣など、看護師の経験は事務の現場でも活かせる
- 転職は「理由の整理 → 目指す事務職の決定 → スキル・資格の確認 → 求人探し → 書類・面接の準備」の順に進める
- 志望動機は「なぜ事務職か」「なぜこの職場か」「経験をどう活かすか」の3つで組み立てる
看護師の経験は、病院の外でも役に立ちます。焦らずに、自分に合う働き方を選んでください。
