「もう看護師を辞めたい」 「でも、辞めたあとどうすればいいか分からない」
毎日の仕事に疲れて、そんなふうに悩んでいませんか。
わたしは新卒から約14年、同じ病院で看護師として働き、2024年12月に退職しました。辞めたいと思い始めてから実際に辞めるまで、7〜8年かかっています。そのあいだ、誰にも相談できずにひとりで悩み続けました。
この記事では、看護師を辞めたいと思ったときに、続けるか辞めるかを決めるための判断軸と、辞めたあとの選択肢をまとめました。
先に結論を書くと、「辞めたい」と思ったときの道は、大きく3つあります。
- 看護師は続けて、職場や働き方を変える
- 看護師以外の仕事に移る
- すぐには決めず、学びや副業で選択肢を増やす
どれが正解かは、人によって違います。まずは「なぜ辞めたいのか」を整理するところから始めましょう。
看護師を辞めたいと思うのは、あなただけではない
日本看護協会の調査では、2024年度に病院を辞めた正規雇用の看護職員は11.0%でした。新卒で入った看護職員でも8.4%が1年以内に離職しています。
※出典:日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月公表。労働政策研究・研修機構の紹介記事)
およそ10人に1人が、毎年職場を離れている計算です。「辞めたい」と思うこと自体は、決して珍しいことではありません。
看護師が「辞めたい」と感じる主な理由
辞めたいと感じる理由は、人によってさまざまです。よくあるものを挙げます。
| 理由 | よくある悩み |
|---|---|
| 夜勤・残業・体力 | 夜勤明けに体が戻らない、残業が多く生活リズムが崩れる |
| 人間関係 | 先輩や上司が怖い、相談できる人がいない、職場の空気がストレス |
| 責任の重さ | 誤薬やアクシデントなどのミスで、自信をなくした |
| 給料 | 責任や忙しさのわりに給料が見合わない |
| ライフイベント | 出産・子育て・介護と、夜勤やシフトが両立できない |
| 仕事内容 | 看護の仕事そのものが合わない気がする |
わたしが辞めたいと思った理由
わたしの場合は、出産と夜勤がきっかけでした。
2016年に第1子を出産してから、子育てと夜勤の両立に悩むようになりました。夫は船乗りで、数か月家を空けることもあります。夜勤免除を申請したり、夫が家にいる期間に夜勤を入れたりして調整していましたが、周りへの引け目はずっと消えませんでした。
夜勤そのものもつらく、仮眠をとっても異常な眠気に襲われることがありました。命を預かる立場として、危機感を抱いていたのを覚えています。
誤薬やアクシデントで「辞めたい」と思ったとき
誤薬やアクシデントなどのミスのあとに、精神的に落ち込み「もう看護師を続けられない」と感じる人は少なくありません。
ただ、ひとつの出来事で自分の向き不向きを決めてしまう必要はありません。まずは、インシデントレポートの振り返りを通して「何が原因だったのか」を整理してみてください。確認の手順や業務量など、個人ではなく仕組みの問題が見つかることもあります。
それでも気持ちが落ち込んだままなら、ひとりで抱え込まずに、先輩や師長、職場の相談窓口に話してください。
経験年数・年代別の悩み
辞めたい理由は、経験年数や年代によっても変わります。
新人・1年目
覚えることの多さ、先輩との関係、夜勤が始まるプレッシャーなど、新人のうちはつらさが重なりやすい時期です。
1年目で辞めたいと思ったら、「仕事に慣れていないだけなのか」「職場が合っていないのか」を分けて考えてみてください。見分け方は、こちらの記事にまとめています。
関連記事:看護師に向いてないと感じたら|「仕事」か「職場」かを見分けて次の一手を決める
2年目・3年目
仕事に慣れてきて、委員会やプリセプター、リーダー業務など、新人のころとは違う責任が増える時期です。「このまま続けるのか」を考え始める人も増えます。
30代・中堅
結婚・出産・子育てなど、ライフイベントと働き方がぶつかりやすい時期です。わたしが悩み始めたのも、この時期でした。夜勤やシフトの調整が難しくなり、「職場を変えるか」「看護師を続けるか」で迷う人が多くなります。
40代・50代
管理職としての責任や、体力の変化が理由になることが多くなります。看護師以外の仕事に移る場合は、これまでの経験をどう活かすかがポイントになります。
辞める前に確認したい4つの判断軸
辞めるかどうかを決める前に、次の4つを確認してみてください。
1. 辞めたい理由は「職場」か「看護の仕事」か
いちばん大切なのがここです。
- 職場が理由(人間関係、夜勤、診療科が合わない)なら、看護師は続けたまま職場を変える選択肢があります
- 看護の仕事そのものが理由なら、看護師以外の仕事も考えてよい時期かもしれません
わたし自身、看護の仕事は嫌いではありませんでした。患者さんの状態をアセスメントすることや、段取りを考えて動くことは好きでした。辞めたいと思ったきっかけは、仕事内容ではなく、夜勤と子育ての両立でした。
2. 心と体の状態は大丈夫か
眠れない、食欲がない、朝起き上がれないなど、ストレスで心身が疲れた状態が続いているなら、辞めるかどうかを考える前に、まず休むことを優先してください。心療内科や産業医への相談、休職という選択肢もあります。
判断力が落ちているときに、大きな決断をする必要はありません。
3. お金の見通しは立っているか
次の仕事が決まらないまま辞めると、収入が途切れる期間ができます。
- 次の収入が入るまでの生活費があるか
- 退職後の健康保険・年金の切り替えはどうするか
- 病院の奨学金を借りている場合、途中で辞めると返済が必要になる条件はないか(いわゆる「お礼奉公」)
奨学金の条件は病院ごとに違うので、契約書を確認するか、事務部門に問い合わせてみてください。
4. 次にやりたいことは見えているか
「辞めたい」だけで辞めてしまうと、次の職場でも同じ悩みを抱えることがあります。「次はどんな働き方をしたいか」を、少しでも言葉にしてから動くのがおすすめです。
まだ見えていなくても大丈夫です。次の章の「学びや副業で試す」という選択肢もあります。
看護師を辞めたいときの3つの選択肢
選択肢1:看護師は続けて、職場や働き方を変える
夜勤や人間関係がつらいなら、看護師を辞めるのではなく、転職して働く場所を変える方法があります。病院だけでなく、医療・介護・企業など、看護師の資格を活かせる転職先は幅広くあります。
| 悩み | 合いやすい職場・働き方の例 |
|---|---|
| 夜勤がつらい | クリニック、健診センター、デイサービス、企業の保健室 |
| 急性期のスピードについていけない | 慢性期・療養型病棟、介護施設 |
| 人間関係がつらい | 規模の小さいクリニック、派遣という働き方 |
| 子育てと両立したい | 日勤のみの常勤、パート |
在職中に次の職場を探すなら、看護師専門の転職サービスで条件を伝えておくと、退職日に合わせて求人を探してもらえます。
わたしも辞めるまでは、この「職場を変える」が第一候補でした。給料や環境が変わることへの不安で決めきれませんでしたが、看護の仕事が好きな人には、まず検討してほしい選択肢です。
選択肢2:看護師以外の仕事に移る
看護の仕事そのものから離れたいなら、一般企業など看護師以外の仕事に転職し、キャリアを広げる道もあります。
看護師の経験は、病院の外でも活きます。わたしは今、一般企業でSEOコンサルタントとして働いていますが、患者さんをアセスメントする考え方は企業の課題分析に、段取りの力はプロジェクトを進める力に、そのまま役立っています。
関連記事:看護師を辞めて違う仕事へ|14年勤めた元看護師がリモートワークの会社員になるまで【体験談】
選択肢3:すぐには決めず、学びや副業で選択肢を増やす
「辞めたいけれど、次に何をしたいか分からない」なら、今すぐ辞めなくても大丈夫です。看護師を続けながら、資格の勉強や副業で、ほかの仕事を試してみる方法があります。
わたしはこの道を選びました。
- 2017年ごろ、看護師(常勤)を続けながら、ブログやInstagram、クラウドワークスで副業を始める
- いろいろ調べる中でライターの仕事に出会う。最初は失敗ばかりだった
- 本業と育児があるので、朝4時ごろに起きて副業と勉強の時間を作っていた
- 2022年4月、ライターとして関わった会社で、ディレクターやコンサルの仕事も任せてもらえるようになる
- 2024年12月に病院を退職し、2025年1月にその会社へ正社員として入社
ディレクターやコンサルの仕事をするうちに「この仕事を極めていくのも悪くない」と思えたことが、看護師を辞めると決めたきっかけです。
ただ、副業は半端な気持ちでは続きません。「楽して稼げる」と思って始めるのは、おすすめしません。
辞めると決めたら:退職の伝え方
辞めると決めたら、まずは師長に相談します。わたしは2024年4月に師長へ伝え、12月に退職しました。何度か引き止められましたが、そのたびに「気持ちは変わりません」と伝えています。
退職届の書き方や、伝える時期、引き止められたときの対処は、こちらの記事にまとめています。
関連記事:看護師の退職届の書き方|テンプレートと渡し方、円満に辞める手順
よくある質問
Q. 看護師を辞めたいのは「甘え」ですか? A. 甘えではありません。看護師の仕事は、命を預かる責任、夜勤、人間関係など、誰にとっても負担が大きい仕事です。毎年およそ10人に1人が職場を離れています。大切なのは、辞めたい理由を整理して、自分に合う次の一歩を選ぶことです。
Q. 1年目で辞めても大丈夫ですか? A. 心や体の不調があるなら、無理に続ける必要はありません。ただ、次の職場の面接では、短期間で辞めた理由を聞かれることが多いので、「何が合わなかったのか」「次はどう働きたいのか」を整理しておくと安心です。
Q. 40代からでも看護師以外の仕事に就けますか? A. 年代が上がるほど、未経験の仕事への転職は簡単ではなくなります。いきなり辞めるより、看護師を続けながら副業や学びで経験を作ってから動くほうが、リスクを抑えられます。
Q. 看護師を辞めてよかった?後悔していませんか? A. わたしは辞めてよかったと思っていて、後悔はしていません。新卒から一つの病院しか知らなかったので、外に出て初めて、自分がどれだけ世間知らずだったかに気づけました。ただ、看護師に戻りたいと思うことはたまにあります。看護師の資格は、辞めても消えません。
まとめ:自分が選んだ道を正解にする
- 看護師を辞めたいと思うのは珍しくない。毎年およそ10人に1人が職場を離れている
- まずは、辞めたい理由が職場なのか看護の仕事なのかを分けて考える
- 心身の不調があるなら、決断より先に休むことを優先する
- 選択肢は「職場を変える」「看護師以外の仕事」「学びや副業で試す」の3つ
わたしは7〜8年悩みましたが、今振り返ると、あの期間も必要な時間だったと思っています。
行動して後悔することもあるかもしれません。でも、今の場所に残っても後悔することはあります。どちらを選んでも、自分が選んだ道を正解にするつもりで、一歩踏み出してみてください。