「看護師の経験を活かして、アロマの資格を取ってみたい」 「メディカルアロマって、看護の現場でも役に立つの?」
看護師として働きながら、そんなふうに考えたことはありませんか。
アロマの資格は、仕事の幅を広げたい看護師や、自分自身のセルフケアに取り入れたい人に選ばれている学びのひとつです。一方で、アロマの資格はすべて民間の団体が認定する資格で、取ればすぐに病院の仕事が変わるものではありません。
この記事では、看護師がアロマ(アロマテラピー・メディカルアロマ)の資格を学ぶメリット、主な資格の種類と取り方、ケアに取り入れるときの注意、副業や開業での活かし方、講座の選び方をまとめました。
先に結論を書くと、次の3つを決めてから選ぶと迷いにくくなります。
- 何のために学ぶか(セルフケア・看護ケア・副業や開業)
- トリートメントの実技まで学ぶか(知識だけか、施術までか)
- 働きながら続けられる形か(オンライン・通学・期間)
この記事の資格の情報は、各団体の公式サイトで確認できた内容だけをもとに書いています。
看護師がアロマの資格を学ぶメリット
精油の知識を体系的に学べる
アロマテラピーは、植物から取り出した精油(エッセンシャルオイル)の香りを暮らしや心身のケアに取り入れる方法です。独学でも楽しめますが、資格の講座では精油の種類や安全な使い方、関係する法律などを順序立てて学べます。
看護師はもともと解剖生理や病態の基礎知識があるので、講座の内容を理解しやすいと感じる人もいるでしょう。
患者さんとの関わり方の引き出しが増える
香りやタッチは、会話のきっかけになることがあります。わたしも看護師時代、患者さんとの会話が好きでした。看護師が日ごろ行っている、患者さんの表情や反応から状態を読み取る観察は、トリートメント中に相手の様子を確かめながら進める場面でも活かせます。
ただし、病院でアロマを使えるかどうかは施設の方針しだいです。この点は後の章で詳しく書きます。
自分自身のセルフケアに使える
夜勤や不規則な勤務が続くと、心身を整える時間が取りにくくなります。わたしも夜勤では、仮眠をとっても異常な眠気に襲われることがあり、体力的にきつく感じていました。
香りを楽しむ時間をつくることは、気分転換のひとつになります。ただ、アロマは不調を治すものではありません。眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くといった状態なら、まず休むこと、医療機関を受診することを優先してください。
関連記事:看護師の仕事に疲れたときの対処法|原因別の休み方と働き方の変え方
看護師以外の働き方を試すきっかけになる
アロマの資格は、セラピストや講師など、病院の外での活動につながることもあります。看護師を続けながら、少しずつ別の働き方を試してみたい人にとって、学びの入口のひとつになります。
看護師が取れるアロマの主な資格
アロマの資格には国家資格はなく、いくつもの民間団体がそれぞれ資格を認定しています。ここでは、公式サイトで内容を確認できた2つの団体の資格を紹介します。
日本アロマ環境協会(AEAJ)の資格
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)は、アロマテラピー検定からセラピストまで、段階的な資格を設けています。
| 資格 | 主な内容 | 取得の流れ(公式サイトより) |
|---|---|---|
| アロマテラピー検定(1級・2級) | アロマテラピーの基礎知識 | インターネット試験(選択式)に合格する |
| アロマテラピーアドバイザー | 精油の安全な使い方や関係する法律の知識をもち、暮らしでの活用法を提案する | 検定1級に合格、AEAJに入会、認定講習会を受講 |
| アロマテラピーインストラクター | 体調や悩みに合わせたアロマの提案、教える仕事 | アドバイザー資格を取得し、認定スクールか独学で学び、共通学科試験に合格 |
| アロマセラピスト | 心身の状態に合わせたアロマテラピートリートメントを提供する | アドバイザー資格を取得し、共通学科試験に合格、認定スクールで実技カリキュラムとカルテ演習を修了し、実技試験に合格 |
アロマテラピー検定は、年齢や経験の制限がなく、どなたでも受験できます。何級からでも受験でき、2級と1級を同時に申し込むこともできます。パソコンやスマートフォンで受けるインターネット試験です。
※出典:公益社団法人 日本アロマ環境協会「アロマテラピー検定 受験要項」「アロマテラピーアドバイザー」「アロマテラピーインストラクター」「アロマセラピスト」
公式サイトでは、アロマセラピストの活動の例として、サロンでの勤務や開業、病院や介護施設でのトリートメントなどが挙げられています。
日本統合医学協会のメディカルアロマの資格
日本統合医学協会は、統合医療の考え方をもとにした資格を認定している団体です。メディカルアロマに関する資格には、次のようなものがあります。
| 資格 | 取得の流れ(公式サイトより) |
|---|---|
| メディカルアロマ検定(入門・2級・1級) | オンラインの検定で取得 |
| メディカルアロマインストラクター | 協会の「メディカルアロマ資格取得講座」(オンライン)を修了 |
| クリニカルアロマインストラクター | 協会の「クリニカルアロマインストラクター資格取得講座」を修了。協会のアロマインストラクターの中で最上位の資格とされている |
| メディカルアロマセラピスト | 協会の認定校で「メディカルアロマセラピストコース」を修了し、試験に合格 |
メディカルアロマセラピストコースは、学科をオンラインの動画で学び、実技を認定校に通って学ぶ形です。基礎医学として骨格系や神経系、循環器系、免疫系などを学び、アロマを用いたトリートメントの実技を段階的に身につけます。期間は約6か月とされています。
※出典:日本統合医学協会「資格・検定について」「メディカルアロマセラピストコース」
そのほかの団体の資格
ほかにも、アロマの資格を認定している団体やスクールは複数あります。看護師を対象にした講座を開いているところもあります。名前が似ている資格でも、主催団体によって内容や取り方が違うので、気になる資格は必ず公式サイトで確認してください。
メディカルアロマとアロマセラピーの違い
「メディカルアロマ」は、医療や福祉の現場、心身の健康づくりにアロマを活かすことを意識した呼び方として使われています。ただ、言葉の使い方は団体によって違い、決まった定義があるわけではありません。
| 観点 | 一般的なアロマテラピーの資格 | メディカルアロマの資格 |
|---|---|---|
| 学ぶ内容の中心 | 精油の基礎、暮らしでの楽しみ方、リラクゼーション | 基礎医学や、医療・福祉の現場での活用を意識した内容 |
| 向いている人 | まずは基礎から学びたい人 | 看護や介護の経験と結びつけて学びたい人 |
「メディカル」という名前がついていても、精油が医薬品になるわけではありません。資格を取っても、病気の治療ができるようになるものではない点は押さえておきましょう。
看護のケアにアロマを取り入れるときの注意
病院や施設のルールに従う
病院でアロマを使うかどうかは、個人の判断ではなく施設の方針で決まります。アロマを取り入れている施設もありますが、どこでも使えるわけではありません。緩和ケアなどの場面で取り入れたいと考えた場合も、医師や師長、関係部署と相談し、施設のルールに沿って進めましょう。
患者さん一人ひとりへの配慮
香りの好みや感じ方は人によって違います。体調によっては、香りが負担になることもあります。
- 本人の希望と同意を確認する
- 体調や皮膚の状態を確認し、合わないときはすぐにやめる
- 同じ部屋の患者さんや、ほかのスタッフへの影響も考える
- 治療やケアの代わりにはしない
「治る」「効く」とは言わない
香りを楽しむオイルなど、人体への効能・効果をうたわない、いわゆる「雑品」として扱われるアロマ商品があります。いわゆる「雑貨」として輸入した商品には、効能・効果をうたう表示はできません。美容や健康増進などの効果をうたう商品は、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制を受けます。
※出典:ジェトロ「アロマ商品の輸入手続き:日本」
患者さんに説明するときも、「この香りで治る」「症状に効く」といった言い方は避け、「香りを楽しむ」「リラックスの時間をつくる」といった伝え方にとどめましょう。
「マッサージ」という言葉に気をつける
医師以外が、あん摩・マッサージ・指圧を業として行うには、あん摩マッサージ指圧師の免許が必要です。また、医師やあん摩マッサージ指圧師による施術が行われていない施設で「マッサージ」と広告すると、誤認されるおそれがあるとされています。
※出典:愛知県「無資格者によるあんまマッサージ指圧業等の防止について」
この記事で紹介した団体の資格でも、「マッサージ」ではなく「トリートメント」という言葉が使われています。看護師の免許があっても、あん摩マッサージ指圧師の免許の代わりにはならない点に注意してください。施術や広告の表現で迷ったときは、都道府県や保健所の担当窓口に確認すると安心です。
資格の活かし方:副業・開業・セラピスト
看護師を続けながら副業で活かす
アロマの知識は、ワークショップの講師、アロマクラフトの教室、セラピストとしての施術など、副業につながることがあります。ただし、副業をしてよいかは勤務先の就業規則によって違います。始める前に必ず確認しましょう。
わたしは看護師を続けながら、副業でライターの仕事をしていました。そのときの実感として、副業は半端な気持ちでは続きません。「楽して稼ごう」と考えて始めるのは、おすすめしません。
関連記事:看護師におすすめの副業|資格を活かす仕事・在宅でできる仕事と始める前の注意点
サロン勤務やセラピストとして働く
アロマセラピストとして、サロンやリラクゼーション施設で働く道もあります。医療の現場とは働き方が大きく変わるので、勤務時間や収入の見通し、求められる技術を事前に調べておきましょう。
開業する
自宅サロンや出張トリートメントなどで開業する人もいます。個人で事業を始めるときは、税務署への「個人事業の開業届出」が必要です。提出の期限は、事業を始めた年の確定申告書の提出期限までとされています。
※出典:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
開業では、集客や経理なども自分で担うことになります。「看護師の経験があるから」と医療的な効果をうたう宣伝はできないので、広告の表現にも注意が必要です。
アロマの資格講座の選び方
講座を選ぶときは、次のポイントを比べてみてください。
| チェック項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 学ぶ目的に合うか | セルフケアなら検定、教える仕事ならインストラクター、施術ならセラピスト系 |
| 主催団体 | どの団体が認定する資格か。団体の公式サイトで制度を確認できるか |
| 学び方 | オンラインだけで完結するか、実技のために通学が必要か |
| 期間と時間 | 働きながら通える日程か。取得までどのくらいの期間がかかるか |
| 費用 | 受講料のほか、入会金・年会費・更新費などがかかるか |
| 実技の内容 | トリートメントの実技がどれくらい含まれるか |
| 講師 | 医療や介護の現場の経験がある講師から学べるか |
働きながら学ぶ時間をどうつくるか
看護師は、夜勤や残業で勉強の時間が取りにくい仕事です。わたしは看護師を続けながら副業をしていたころ、育児と常勤の看護師の仕事を両立するために、朝4時ごろに起きて副業と勉強の時間をつくっていました。
全員に早起きをすすめるわけではありませんが、「いつ勉強するか」を先に決めておくと続けやすくなります。オンラインの講座なら、スキマ時間に動画で学べるものもあります。
いきなり上位資格を目指さなくてもよい
アロマに興味はあるけれど続くか分からない、という人は、まずは検定など入門的な資格から始めて、自分に合うかを確かめる方法もあります。AEAJのアロマテラピー検定は、インターネットで受験できます。
学びや副業で選択肢を増やす考え方は、こちらの記事でも紹介しています。
関連記事:看護師を辞めたい人へ|14年働いた元看護師が「続ける・辞める」の判断軸を解説
よくある質問
Q. アロマの国家資格はありますか? A. ありません。アロマの資格は、日本アロマ環境協会や日本統合医学協会など、民間の団体が認定する資格です。
Q. 看護師の資格があれば、アロマの資格は取りやすいですか? A. この記事で紹介した団体の公式サイトを確認した範囲では、看護師であることを取得の条件とする記載は見当たりませんでした。ただ、解剖生理などの基礎知識がある分、学ぶ内容を理解しやすいと感じる人もいます。
Q. アロマテラピー検定はいきなり1級を受けられますか? A. 受けられます。日本アロマ環境協会の受験要項では、何級からでも受験でき、2級と1級の併願もできるとされています。
Q. アロマの資格を取れば、病院で患者さんに使えますか? A. 資格があっても、使えるかどうかは病院や施設の方針しだいです。医師や上司と相談し、施設のルールに沿って取り入れましょう。
Q. アロマの資格で給料は上がりますか? A. 資格手当の有無は職場によって違います。資格を取る前に、今の職場や応募先の制度を確認しておくと安心です。
まとめ:目的を決めてから資格を選ぼう
- アロマの資格はすべて民間資格。主催団体によって内容や取り方が違う
- 日本アロマ環境協会は検定からセラピストまで段階的な資格、日本統合医学協会はメディカルアロマの検定や講座がある
- 病院でアロマを取り入れるときは、施設の方針に従い、患者さんの同意と体調を確認する
- 精油の効果を「治る」「効く」と断定しない。「マッサージ」という言葉の使い方にも注意する
- 副業や開業に活かすなら、就業規則や開業の手続き、広告の表現を確かめる
まずは「何のためにアロマを学びたいのか」を言葉にしてみてください。目的が決まれば、選ぶ資格や講座も自然としぼれてきます。
