「辞めると決めたけれど、退職届ってどう書けばいいの?」「師長にいつ渡せばいい?」と手が止まっていませんか。
退職届は、書き方さえ押さえれば10分で書けます。むずかしいのは書類よりも、渡すタイミングと伝え方です。
この記事では、約14年勤めた病院を辞めて一般企業に転職した元看護師のひなたが、退職届・退職願の書き方をテンプレート付きで解説します。あわせて、退職を切り出す時期や、引き止められたときの対処もまとめました。
わたし自身は、2024年4月に師長へ退職の意思を伝えました。当初は秋ごろに辞めるつもりでしたが、実際に退職できたのは12月です。伝えてから8か月かかりました。
退職届と退職願の違い|看護師はどちらを出す?
まず、似た名前の2つの書類の違いを整理します。
| 書類 | 意味 | 出すタイミング | 撤回 |
|---|---|---|---|
| 退職願 | 「辞めさせてください」というお願い | 退職を切り出すとき | 承諾される前なら撤回できる場合がある |
| 退職届 | 「〇月〇日で辞めます」という届け出 | 退職日が決まった後 | 原則として撤回できない |
| 辞表 | 役員や公務員が職を辞するときの書類 | — | 一般の看護師は使わない |
多くの病院では、師長に口頭で退職の意思を伝える → 退職日を相談して決める → 退職届を出すという流れです。最初から退職届を出すより、まず口頭で相談したほうが話はこじれにくくなります。
ただし、病院によっては「所定の退職願(退職届)の様式に記入する」決まりになっています。書く前に就業規則か、事務部門に様式があるかを確認しましょう。様式があれば、それに従えば十分です。
看護師の退職届の書き方【テンプレート】
様式の指定がない場合は、次のテンプレートをそのまま使えます。
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
令和〇年〇月〇日
〇〇病院 〇〇病棟
(自分の氏名) 印
〇〇病院
院長 〇〇 〇〇 殿
退職願の場合は、本文の末尾を「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」に変え、タイトルを「退職願」にします。
書くときの5つのポイント
- 宛名は院長(法人の代表者):手渡しする相手は師長でも、宛名は院長や理事長にします。自分の名前より上に書きます
- 退職理由は「一身上の都合」でよい:人間関係や待遇への不満を書く必要はありません。自己都合の退職なら、この一文で足ります
- 日付は2つ:本文には「退職日」、末尾には「提出日」を書きます
- 手書きでもパソコンでもよい:手書きを求める職場もありますが、決まりがなければどちらでも問題ありません。迷ったら手書きのほうが無難です
- 用紙と封筒:白無地の便箋(B5かA4)、白の封筒(便箋をB5なら長形4号、A4なら長形3号)。封筒の表に「退職届」、裏に所属と氏名を書きます
病院の都合で辞める場合は書き方が変わる
病棟の閉鎖や雇い止めなど、病院側の都合で辞める場合は「一身上の都合」と書かないでください。自己都合の退職として扱われ、失業手当の給付で不利になることがあります。この場合は「〇〇のため」と事実を書くか、書く前に事務部門やハローワークに確認しましょう。
退職届はいつ・誰に渡す?
退職の相談は1〜3か月前が目安
法律(民法627条)では、期間の定めのない雇用なら、退職を申し出てから2週間で辞められるとされています。ただ、多くの病院の就業規則では「1か月前」「3か月前」などと決められていて、シフトや後任の調整にも時間がかかります。
円満に辞めたいなら、退職希望日の2〜3か月前には師長に相談するのが現実的です。
看護師ならではの事情として、次の時期は避けたほうが話が進みやすくなります。
- 4月の新人が入る前後(教育担当の負担が大きい)
- 夏季・年末年始の休暇シフトを組む直前
- 病棟の人員がすでに足りていない時期
一方、ボーナス支給後や年度末(3月)での退職は、人員計画に組み込みやすいため、受け入れられやすい傾向があります。
ひなたの場合は、退職のおよそ半年前を目安に伝えました。それでも引き継ぎや人員の都合で退職日は後ろにずれ、最終的に伝えてから8か月かかっています。早めに伝えておいて損はありません。
最初に伝えるのは直属の上司(師長)
退職の意思は、まず直属の上司である師長に伝えます。同僚や主任に先に話すと、師長が人づてに知ることになり、関係がこじれる原因になります。
切り出すときは、ナースステーションではなく、個室で時間をとってもらいましょう。
「師長、ご相談したいことがあるので、どこかで15分ほどお時間をいただけますか」
本題では、迷っている印象を与えないよう、退職の意思と希望日を先に伝えます。
「〇月末で退職させていただきたいと考えています。〇〇(次にやりたいこと)に挑戦したく、決心しました」
退職届は「退職日が決まってから」手渡し
師長と相談して退職日が決まったら、退職届を出します。基本は手渡しです。休職中などで出勤できない場合は、送ったことが記録に残る簡易書留などで郵送します。
退職理由の伝え方|本音をそのまま言わなくていい
退職届の理由は「一身上の都合」で足りますが、師長との面談では理由を聞かれることがほとんどです。
ここで「人間関係がつらい」「夜勤がきつい」と本音だけを伝えると、「部署を異動すれば続けられる?」「夜勤を減らすから」と引き止めの材料になりがちです。
伝え方のコツは、不満ではなく「次にやりたいこと」を理由にすることです。
| 本音 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 夜勤がつらい | 生活リズムを整えて、長く働ける働き方に変えたい |
| 人間関係に疲れた | 〇〇の分野を学び直したい/別の環境で経験を積みたい |
| 看護師以外の仕事がしたい | 〇〇の仕事に挑戦したい(具体的な職種を伝える) |
| 給料が見合わない | 家庭の事情で働き方を見直したい |
うそをつく必要はありません。次の進路が決まっているなら、それを伝えるのがいちばん強い理由になります。
もちろん、本音をそのまま伝えても辞めることはできます。ひなたは「子育てをしながら働き続けるのが難しい」ことと、「病院の経営が厳しく、数年後の見通しが持てない」ことを正直に伝えました。何度か引き止められましたが、そのたびに「気持ちは変わりません」と伝えて、結論は変えませんでした。
大切なのは、言い方よりも退職の意思がぶれないことです。
引き止められたときの対処
看護師は人手不足の職場が多く、引き止めにあうのは珍しくありません。よくあるパターンと返し方です。
- 「後任が見つかるまで待って」:「〇月〇日までは引き継ぎに全力を尽くします」と、退職日は動かさずに協力の姿勢を見せる
- 「異動や夜勤免除で続けられない?」:条件で迷うなら一度持ち帰ってもよいですが、決めているなら「ありがたいお話ですが、気持ちは変わりません」と伝える
- 「今辞めるのは無責任」:退職は働く人の権利です。罪悪感から退職日を何度も延ばす必要はありません
話がまったく進まない場合は、師長より上の看護部長や人事部門に相談します。それでも難しい場合は、各都道府県の労働局にある「総合労働相談コーナー」に無料で相談できます。
退職前後にやること
退職日が決まったら、次の手続きを順に進めます。
- 有給休暇の残日数を確認し、消化の予定を師長と相談する
- 担当患者の申し送り、委員会や係の引き継ぎ
- 制服・名札・IDカード・鍵などの返却
- 離職票・源泉徴収票・年金手帳など、受け取る書類の確認
- 次の職場が決まっていない場合は、健康保険(任意継続か国民健康保険か)と年金の切り替え
次の職場は「辞める前」に考え始める
退職届を書くところまで来たなら、次の働き方も同時に考えておくと安心です。辞めたあとに探し始めると、収入のない期間が長くなり、焦って決めてしまいがちだからです。
看護師は続けたいけれど、職場を変えたい人
夜勤や人間関係が理由なら、看護師を辞めるのではなく、働く場所を変える選択肢があります。クリニック、健診センター、企業の保健室など、日勤のみで働ける職場もあります。
在職中に求人を探すなら、看護師専門の転職サービスで担当者に条件を伝えておくと、退職日に合わせて次の職場を探してもらえます。
看護師以外の仕事に移りたい人
看護の仕事そのものから離れたいなら、一般企業への転職も現実的な選択肢です。運営者のひなたも病院を辞めて、今はリモートワークの会社員として働いています。
ひなたは看護師のうちに副業でライターを始め、業務委託で関わった会社に正社員として入社しました。今はSEOコンサルタントとして働いています。患者さんをアセスメントする考え方は企業の課題分析に、段取りの力はプロジェクトを進める力に、そのまま活きています。
関連記事:看護師を辞めて違う仕事へ|14年勤めた元看護師がリモートワークの会社員になるまで【体験談】
よくある質問
Q. 退職届はメールやLINEで送ってもいい? A. 正式な書類としては紙で出すのが一般的です。病院の様式がある場合はそれに従います。
Q. 新人1年目でも退職届は出せる? A. 出せます。書き方は同じです。1年目で辞めることへの不安は「看護師を辞めたい人へ」の記事で詳しく書いています。
Q. 退職届を受け取ってもらえない場合は? A. 提出した記録が残る方法(内容証明郵便など)で送る方法があります。トラブルになっている場合は、総合労働相談コーナーに相談してください。
まとめ
- 退職の相談は2〜3か月前に、まず師長へ口頭で
- 退職届は退職日が決まってから、院長宛てに「一身上の都合」で書く
- 面談での理由は、不満ではなく次にやりたいことを伝える
- 次の働き方は、辞める前から考え始める
退職届を書くのは、新しい働き方への最初の一歩です。焦らず、自分のペースで進めてください。