「同期はできているのに、自分だけ仕事が遅い」「インシデントを起こすたびに、看護師に向いてないと思う」。そんなふうに落ち込んでいませんか。
先に結論を書くと、「向いてない」と感じる原因は、大きく3つに分かれます。
- 経験年数の問題(今はまだ慣れていないだけ)
- 職場・診療科との相性の問題(看護師は合っているが、今の環境が合っていない)
- 看護の仕事そのものとの相性の問題
どれに当てはまるかで、取るべき行動はまったく違います。1なら少し様子を見る、2なら職場を変える、3なら看護師以外の仕事も考える、という具合です。
この記事では、病院を辞めて一般企業に移った元看護師のひなたが、原因を見分けるチェックリストと、それぞれの次の一手をまとめました。
ひなたは約14年、病院で看護師として働きました。アセスメントや段取りは好きでしたが、夜勤だけはどうしてもつらく、仮眠をとっても異常な眠気に襲われることがありました。命を預かる立場として、危機感を抱いていたのを覚えています。
「向いてない」と感じるのはあなただけではない
命を預かる責任、覚えることの多さ、夜勤による生活の乱れ。看護師の仕事は、誰にとっても負荷が大きい仕事です。「向いてない」と感じること自体は、珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。
大切なのは、その気持ちがどこから来ているのかを切り分けることです。
原因を見分けるチェックリスト
当てはまるものにチェックを入れてみてください。いちばん多くチェックが入ったグループが、今の「向いてない」の正体に近いはずです。
A:経験年数の問題かもしれない
- ☐ 働き始めてまだ1〜3年目
- ☐ 失敗の多くは「知らなかった」「慣れていなかった」ことが原因
- ☐ 1年前の自分と比べると、できることは増えている
- ☐ 先輩も「最初はそうだった」と言っている
B:職場・診療科との相性の問題かもしれない
- ☐ 夜勤や残業が多く、体力的に限界を感じる
- ☐ 急変や処置が続く環境がつらいが、患者さんと話す時間は好き
- ☐ 人間関係やいじめ、教育体制に悩んでいる
- ☐ 前の部署や実習先では、こんなに苦しくなかった
- ☐ 「この病院の看護師」がつらいのであって、「看護」が嫌いなわけではない
C:看護の仕事そのものとの相性の問題かもしれない
- ☐ 職場や診療科を変えても、同じ気持ちになると思う
- ☐ 患者さんの命に関わる責任を負うこと自体が、ずっと重くてつらい
- ☐ 血液や排泄物の処理など、仕事の中身に強い抵抗がある
- ☐ 看護以外にやってみたいことがある
- ☐ 休日も仕事のことを考えて、心身の不調が続いている
※眠れない、食欲がない、朝起きられないなどの状態が2週間以上続いている場合は、向き不向きを考える前に、まず心療内科や産業医に相談してください。判断力が落ちているときに、大きな決断をする必要はありません。
Aが多かった人:「慣れていない」と「向いてない」は別物
1〜3年目で「ずっと新人みたい」と感じるのは、よくあることです。看護の仕事は、覚えることの量が多く、一人前と感じられるまでに時間がかかります。
この時期に試してほしいのは次の3つです。
- 失敗を「知識不足」「手順不足」「確認不足」に分けて記録する:同じ種類の失敗が減っていれば、成長している証拠です
- 先輩に「自分の今の課題」を聞く:漠然と落ち込むより、具体的な課題が分かるほうが気持ちは楽になります
- 期限を決めて様子を見る:「次の異動の時期まで」「3年目の終わりまで」と区切ると、続けるか辞めるかを冷静に判断しやすくなります
ただし、パワハラや明らかに無理な勤務が原因なら、それは「慣れ」の問題ではありません。Bの対処も読んでください。
Bが多かった人:看護師は続けて「職場」を変える
チェックがBに集中した人は、看護師に向いていないのではなく、今の職場や診療科が合っていない可能性が高いです。
看護師の働く場所は、病棟だけではありません。合わない理由ごとに、向いている職場の例を挙げます。
| 合わない理由 | 合いやすい職場の例 |
|---|---|
| 夜勤がつらい | クリニック、健診センター、デイサービス、企業の保健室 |
| 急変や処置のスピードについていけない | 慢性期・療養型病棟、介護施設、健診センター |
| 患者さんとゆっくり関わりたい | 療養型病棟、介護施設、訪問看護(※スタッフとして) |
| 人間関係がつらい | 規模の小さいクリニック、派遣という働き方 |
職場を変えるときは、辞める前に次の職場を探し始めるのがおすすめです。看護師専門の転職サービスなら、「夜勤なし」「残業少なめ」など条件を伝えると、合う求人を探してもらえます。
Cが多かった人:看護師以外の仕事も選択肢に入れる
職場を変えても同じ気持ちになりそうなら、看護師以外の仕事を考えてもよい時期かもしれません。
看護師の経験は、病院の外でも評価されます。たとえば、次のような力です。
- 優先順位をつけて、限られた時間で複数の業務を回す力
- 患者さんや家族、医師など立場の違う人と調整する力
- 記録を正確に残し、申し送りで情報を伝える力
ひなたも、病院を辞めて一般企業に転職し、今はリモートワークでプロジェクト管理やWeb集客の仕事をしています。
患者さんの表情や検査結果から「今何が起きているか」をアセスメントする考え方は、企業の課題を分析する仕事とよく似ています。時間を逆算して動く段取りの力も、プロジェクトを進める力として評価してもらえています。
「看護師以外で、何がしたいのか分からない」という人は、ひとりで考え込むより、キャリアの専門家と話しながら整理するほうが早く進みます。
関連記事:看護師を辞めて違う仕事へ|14年勤めた元看護師がリモートワークの会社員になるまで【体験談】
迷ったときは「資格・学び」で選択肢を増やす
A・B・Cのどれとも決めきれないなら、今すぐ辞めるか続けるかを決めなくても大丈夫です。働きながら資格を取ったり、新しいスキルを学んだりすると、続ける場合も辞める場合も選択肢が広がります。
よくある質問
Q. 看護学生のうちから「向いてない」と感じています。 A. 実習の環境は、実際の職場とは違います。卒業後の働き方は幅広いので、実習でつらかった点を書き出し、それが避けられる職場があるかを調べてみてください。
Q. 向いてないと感じたまま働き続けてもいい? A. 心身の不調がないなら、期限を決めて続けるのも一つの選択です。不調が続いている場合は、まず休むことを優先してください。
まとめ
- 「向いてない」の原因は、経験年数・職場との相性・仕事との相性の3つに分けて考える
- 経験年数の問題なら、期限を決めて様子を見る
- 職場の問題なら、看護師は続けて職場を変える
- 仕事そのものの問題なら、看護師以外の仕事も選択肢に入れる
「向いてない」と感じたことは、自分に合う働き方を見つけるきっかけにもなります。まずはチェックリストで、今の気持ちを整理してみてください。