「転職したのに、前の職場のほうがよかった」 「次こそは、転職で失敗したくない」
看護師の転職では、こうした後悔の声も少なくありません。
わたしは約14年同じ病院で働き、看護師として職場を変える転職を何年も考えていました。そのとき決めきれなかったのは、環境が変わることへの不安があったからです。
この記事では、看護師の転職でよくある失敗例と、失敗する原因、転職前に確認したいチェックリスト、そして転職に失敗したと感じたときの対処法をまとめました。
看護師の転職でよくある失敗例
1. 人間関係がかえって悪くなった
人間関係が理由で転職したのに、転職先でも合わない人がいた、というケースです。とくにスタッフの少ない職場では、人間関係の影響が大きくなりがちです。
2. 年収が下がった
夜勤のない職場に移ったら、夜勤手当がなくなって年収が思った以上に下がった、というケースです。月給だけを見て決めると、賞与や手当の違いに気づかないことがあります。
3. 聞いていた話と違った
「残業はほとんどない」と聞いていたのに、実際は毎日残業がある。希望とは違う部署に配属された。求人票や面接で聞いた条件と、実際の働き方が違うケースです。
4. 休みが取れない・人手が足りない
入職してみたら、常に人員が足りず、休みの希望が通らない、有給休暇が取れないというケースです。看護師の入れ替わりが激しい職場で起こりやすくなります。
5. 仕事内容が合わなかった
急性期から慢性期へ、病院からクリニックへなど、働く場所を大きく変えたときに、思っていた仕事と違ったと感じるケースです。
6. 前の職場より合わなかった
前の職場の不満から逃れることだけを考えて転職した結果、前の職場の良さに後から気づく、というケースもあります。たとえば「人間関係はつらかったけれど、教育体制は整っていた」「忙しかったけれど、給与は良かった」など、離れてみて初めて分かる良さもあります。今の職場の良い点も書き出しておくと、転職先を比べるときの基準になります。
看護師が転職で失敗する原因
失敗例には、共通する原因があります。
| 原因 | 起きやすい失敗 |
|---|---|
| 転職理由がはっきりしていない | 何を改善したいのか分からず、同じ悩みをくり返す |
| 条件の優先順位を決めていない | 給与・休日・夜勤・通勤など、大事な条件を見落とす |
| 情報収集が足りない | 「聞いていた話と違う」が起きる |
| 焦って決めてしまう | 辞めた後に急いで探し、条件に妥協してしまう |
| 職場を見ていない | 雰囲気や人間関係が分からないまま入職する |
転職で失敗しないための5つのポイント
1. 転職理由と「次に叶えたいこと」を書き出す
まずは、今の職場の何がつらいのか、次の職場で何を叶えたいのかを書き出しましょう。「夜勤をなくしたい」「残業を減らしたい」「子育てと両立したい」など、具体的に言葉にすると、求人を選ぶ軸になります。
辞めたい理由が「職場」なのか「看護の仕事そのもの」なのかによっても、選ぶべき道は変わります。
関連記事:看護師に向いてないと感じたら|「仕事」か「職場」かを見分けて次の一手を決める
2. 条件に優先順位をつける
すべての条件を満たす職場は、なかなかありません。「これだけは譲れない」条件を2〜3個に絞り、それ以外はある程度妥協すると決めておくと、判断しやすくなります。
3. 求人票は内訳まで確認する
給与は月給だけでなく、基本給、手当、賞与、残業代の扱いまで確認しましょう。休日の数、有給休暇の取りやすさ、夜勤の回数、オンコールの有無も大切です。
年収の変化を考えるときは、こちらの記事が参考になります。
関連記事:看護師が夜勤なしで働くと年収はどう変わる?夜勤手当の差と日勤のみの職場
4. 職場見学と面接で、実際の様子を確かめる
見学や面接は、自分が職場を見極める場でもあります。次のような点を見たり、質問したりしてみましょう。
- スタッフ同士の会話や表情、忙しさ
- 看護師の人数と、平均的な残業時間
- 新しく入った人の教育やサポートの体制
- 有給休暇や希望休の取りやすさ
5. 在職中に転職活動を始める
辞めてから転職先を探すと、収入のない期間が長くなり、焦って決めてしまいがちです。できるだけ、今の職場で働きながら転職活動を進めましょう。
わたしの場合、病院に退職を伝えてから実際に辞めるまで8か月かかりました。退職は思っているより時間がかかることもあるので、余裕を持って動くのが安心です。
関連記事:看護師の退職届の書き方|テンプレートと渡し方、円満に辞める手順
転職先の種類別に起こりやすいギャップと対策
働く場所が大きく変わる転職ほど、入職後のギャップが起きやすくなります。
| 転職のパターン | 起こりやすいギャップ | 事前にできる対策 |
|---|---|---|
| 病棟 → クリニック | 一人で判断する場面が多い、受付や事務の仕事もある | 看護師の人数と業務の範囲を確認する |
| 急性期 → 慢性期 | 医療処置が減り、物足りなさを感じる | 自分が大切にしたい看護を言葉にしておく |
| 病院 → 介護施設 | 医師が常にいない中での判断、介護職との連携 | 夜間やオンコールの体制、看護師の役割を確認する |
| 病院 → 訪問看護 | 一人で利用者さんの自宅を訪問する緊張感 | 同行訪問などの教育期間があるかを確認する |
| 看護師 → 一般企業 | 看護とは違う仕事の進め方、評価のされ方 | 副業などで仕事内容を先に試してみる |
どのパターンでも、「新しい職場では、患者さんや利用者さんとどう関わる仕事なのか」を事前に具体的にイメージしておくことが、失敗を防ぐ近道です。
面接で聞いておきたい質問の例
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、職場を知るチャンスです。
- 看護師の人数と、1日に担当する患者さんの数はどれくらいですか
- 平均的な残業時間は、どれくらいですか
- 新しく入った方は、どのような流れで仕事を覚えていきますか
- 有給休暇や希望休は、どのように取っていますか
- 今回の募集は、増員ですか、欠員の補充ですか
聞きにくいことは、転職サービスの担当者を通して確認してもらう方法もあります。入職してから「こんなはずではなかった」とならないよう、気になることは入職前に確かめておきましょう。
転職前のチェックリスト
応募する前に、次の項目を確認してみてください。
- 転職理由と、次の職場で叶えたいことを書き出した
- 譲れない条件を2〜3個に絞った
- 給与の内訳(基本給・手当・賞与・残業代)を確認した
- 休日、有給休暇、夜勤の回数、オンコールの有無を確認した
- 職場見学をした、または職場の雰囲気を確認した
- 看護師の人数や、入れ替わりの多さを確認した
- 今の職場の就業規則で、退職を伝える時期を確認した
情報収集に転職サービスを使うのも一つの方法
求人票だけでは分からない、職場の雰囲気や看護師の人数、離職の状況などの情報は、自分ひとりで集めるのが難しいものです。看護師専門の転職サービスの担当者は、応募先の内部の情報を知っていることがあり、面接の日程調整や、条件の交渉を代わりに行ってくれるサービスもあります。
ひなたの友人(看護師)は、転職エージェントの担当者から、訪問看護や外来など、いろいろな職場の話を聞けたことがとても良かったと話していました。話を聞くうちに、子育て中の自分にはオンコールのない病院の外来が合っていると決められたそうです。
ただし、担当者のすすめる求人に流されず、自分で決めた優先順位をもとに判断することが大切です。
関連記事:看護師の転職サイトは使わない方がいい?言われる理由と仕組み・上手な使い方
転職に失敗したと感じたときの対処法
すぐに辞める前に、原因を整理する
入職して間もないころは、新しい環境に慣れていないだけで、つらく感じることもあります。何が合わないのかを書き出し、時間がたてば解決するものか、職場を変えないと解決しないものかを分けて考えましょう。
上司や先輩に相談する
業務の進め方や配属先の悩みは、相談することで改善できる場合もあります。
再転職も選択肢に入れる
心身の不調が出ている場合や、聞いていた条件と大きく違う場合は、無理に続ける必要はありません。短い期間で辞めると次の面接で理由を聞かれることが多いので、「何が合わなかったのか」「次はどうしたいのか」を整理しておきましょう。
よくある質問
Q. 看護師の「3年ルール」とは何ですか? A. 「同じ職場で3年は働いたほうがよい」という考え方のことです。法律などで決まっているわけではありません。3年ほど経験を積むと応募できる求人が増えやすいのは確かですが、心身の不調があるのに無理に続ける必要はありません。
Q. 転職に失敗した場合、すぐ辞めても大丈夫ですか? A. 退職の手続きには、就業規則で決められた期間があります。まずは就業規則を確認し、上司に相談しましょう。体調を崩している場合は、受診して休むことを優先してください。
Q. 転職して一番しんどい時期はいつですか? A. 人によりますが、新しい職場のルールや人間関係に慣れるまでの最初の数か月は、つらく感じやすい時期です。
Q. 転職回数が多いと、次の転職で不利になりますか? A. 不利になる可能性はありますが、それぞれの職場で何を学んだのか、なぜ今回は長く働きたいのかを説明できれば、回数だけで判断されるとは限りません。志望動機の伝え方は「看護師の転職の志望動機の書き方」にまとめています。
Q. 転職サービスに登録したら、必ず転職しないといけませんか? A. いいえ。情報収集のために登録して、今の職場に残ると決める人もいます。求人や職場の情報を比べたうえで、今の職場の良さに気づくこともあります。
まとめ
- 看護師の転職でよくある失敗は、人間関係・年収・聞いていた話との違い・休みが取れないなど
- 失敗の多くは、転職理由や優先順位があいまいなまま、情報が少ない状態で決めてしまうことから起きる
- 転職理由と叶えたいことを書き出し、条件に優先順位をつけ、求人票の内訳と職場の実際の様子を確かめる
- できるだけ在職中に転職活動を進め、焦って決めない
転職は、働き方を変えるための大切な一歩です。準備をしっかりして、自分に合う職場を選んでください。