「看護師って、辞める人が多いイメージがある」 「看護師の離職率は、ほかの仕事より高いの?」
職場で退職者が続くと、「看護師はやっぱり辞める人が多い仕事なのかな」と不安になることもあるのではないでしょうか。ただ、統計を見てみると、イメージとは少し違う一面も見えてきます。
この記事では、看護師の離職率について次のことをまとめました。
- 看護師の最新の離職率(正規雇用・新卒・既卒)
- ほかの産業との比較
- 新人看護師が辞める理由
- 離職率が高くなりやすい職場の特徴
- 離職率を転職先選びに生かす方法
看護師の離職率は11.0%
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」によると、2024年度の看護職員の離職率は次のとおりでした。
| 区分 | 離職率 | 前年度との比較 |
|---|---|---|
| 正規雇用看護職員 | 11.0% | 0.3ポイント減 |
| 新卒採用者 | 8.4% | 0.4ポイント減 |
| 既卒採用者(経験者) | 16.1% | 前年度と同じ |
正規雇用の看護職員のうち、1年間で約9人に1人が辞めている計算です。新卒の離職率は少しずつ下がってきている一方で、経験者として採用された人の離職率は16.1%と高くなっています。
既卒採用者の離職率が高い理由
経験者として入職した人の離職率が高いのは、転職先とのミスマッチが一因と考えられます。前の職場とのやり方の違いや、即戦力として期待されるプレッシャー、人間関係になじめないことなどが重なると、早い段階で辞めたくなってしまうのでしょう。
転職をくり返さないためには、応募前に職場の情報をしっかり集めておくことが大切です。転職でよくある失敗例は、次の記事でまとめています。
関連記事:看護師が転職で失敗しないために、よくある失敗例と転職前に確認したいこと
ほかの産業と比べると高い?
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、令和6年の離職率は全産業で14.2%、医療・福祉で13.8%でした。
調査の方法や対象が違うため単純には比べられませんが、看護職員の離職率が全産業と比べて極端に高いわけではないことがわかります。「看護師は辞める人が多い」というイメージは、人数の多さや、職場ごとの差の大きさから生まれている部分もあるのかもしれません。
新人看護師が辞める理由
同じ調査で、新卒看護師が年度の途中で辞めた理由(看護管理者の回答、複数回答)として多かったのは次のとおりです。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 健康上の理由(精神的疾患) | 54.6% |
| 看護職への適性への不安 | 46.6% |
| 実践能力への不安 | 44.2% |
心の不調や、「自分は看護師に向いていないのでは」という不安が、新人の離職の大きな理由になっています。1年目は覚えることが多く、夜勤も始まり、心と体に負担がかかりやすい時期です。つらさを感じたときの考え方は、次の記事を参考にしてください。
関連記事:新人看護師が辞めたいと思ったら、1年目のつらさの理由と辞める前に考えること・相談先
関連記事:看護師に向いてないと感じたら、「仕事」か「職場」かを見分けて次の一手を決める
看護師が働き続けるうえでの課題
日本看護協会の「2025年看護職員実態調査」では、看護職として働き続けたいと答えた人は62.9%で、2021年の調査より4.7ポイント下がりました。また、この1年間に暴力やハラスメントを受けた看護職員は49.3%にのぼっています。
さらに、病院看護実態調査では、病気で1か月以上の連続休暇をとった正規雇用の看護職員がいた病院は72.6%でした。そのうち79.5%の病院では、メンタルヘルスの不調による休暇の職員がいたと回答しています。離職率の数字だけでなく、働く人の心身の負担にも目を向ける必要があるでしょう。
離職率が高くなりやすい職場の特徴
- 慢性的な人手不足で、残業や夜勤の負担が大きい
- 新人や中途入職者への教育体制が整っていない
- 人間関係のトラブルや、ハラスメントへの対応が不十分
- 有給休暇がとりにくく、休みの希望が通りにくい
- 給与や評価の仕組みに不満がある
どれかひとつというより、いくつかの要因が重なって離職が続くことが多いものです。入職前の見学や面接で、こうした点をさりげなく確認しておくと安心です。
離職率を転職先選びに生かす方法
病院によっては、ホームページや採用パンフレットで離職率を公開しています。数字を見るときは、次の点に注意しましょう。
- 新卒の離職率か、全体の離職率か
- いつの年度の数字か
- 病棟ごとに大きな差がないか
離職率が公開されていない場合は、面接や見学で「新人の定着率はどれくらいですか」「中途入職者のフォローはどうしていますか」と聞いてみるのもひとつの方法です。転職サイトの担当者を通じて、職場の雰囲気や離職の状況を確認してもらうこともできます。
関連記事:看護師の転職サイトは使わない方がいい?言われる理由と仕組み・上手な使い方
関連記事:看護師の転職面接でよく聞かれる質問と回答例、逆質問・服装・マナーと「落ちるサイン」の考え方
看護師の離職率についてよくある質問
Q. 看護師の離職率はどこで調べられますか? A. 全国の平均は、日本看護協会の「病院看護実態調査」で確認できます。個別の病院の離職率は、病院のホームページや採用情報、面接での質問で確かめるのが確実です。
Q. 看護師は3年以内に辞める人が多いのですか? A. 2024年度の新卒看護師の離職率は8.4%で、1年目に辞める人は1割に満たない計算になります。ただ、2〜3年目で転職を考える人もいるため、職場選びのときに教育体制やフォローの内容を確認しておくことが大切です。
Q. 離職率が低い職場の特徴は何ですか? A. 教育体制が整っている、残業が少ない、休みがとりやすい、相談しやすい雰囲気があるなどの特徴が挙げられます。見学のときに、スタッフの表情や声のかけ合いを見てみると、職場の雰囲気がつかみやすいでしょう。
まとめ
2024年度の看護職員の離職率は、正規雇用で11.0%、新卒で8.4%、既卒で16.1%でした。全産業と比べて極端に高いわけではありませんが、心身の不調や職場とのミスマッチで辞める人が少なくないのも事実です。
辞めたいと感じているなら、まずは自分の心と体を大切にしてください。そのうえで、離職率や教育体制を手がかりに、長く働ける職場を探してみるのもひとつの選択肢です。
