「看護師の転職って、いつ動くのがいいんだろう」 「ボーナスをもらってから? 4月入職を狙ったほうがいい?」
転職したい気持ちはあっても、タイミングが分からずに動けない人は多いと思います。
わたしは約14年同じ病院で働き、看護師として職場を変える転職を何年も考えていました。最終的には看護師以外の道を選びましたが、退職を伝えてから実際に辞めるまでには8か月かかりました。退職の手続きは、思っているより時間がかかることがあります。
この記事では、看護師の転職タイミングを「何月に動くか」「何年目か」「ライフイベント」の3つの視点で整理し、退職を伝える時期と転職活動のスケジュールの立て方をまとめました。
先に結論をお伝えすると、ベストな転職時期は人によって違います。一般的に「動きやすい時期」はありますが、いちばん大切なのは、自分の希望や生活の都合から逆算して、余裕を持って準備を始めることです。
看護師の転職タイミングは「2つの軸」で考える
転職のタイミングを考えるときは、次の2つを分けて考えると整理しやすくなります。
| 軸 | 考えること |
|---|---|
| 病院・職場側の都合 | 求人が出やすい時期、入職しやすい時期、教育体制が整う時期 |
| 自分の都合 | 経験年数、ボーナス、結婚・出産・子育て、心と体の状態 |
求人が多い時期に動いても、自分の準備が整っていなければ、条件を比べきれずに焦って決めてしまうことがあります。反対に、自分の都合を優先しすぎると、希望の職場の募集がない時期に当たることもあります。
2つの軸のバランスを見ながら、自分にとっての「動きやすい時期」を探していきましょう。時期だけで転職の成功が決まるわけではないので、準備の進み具合もあわせて考えることが大切です。
転職を考える看護師は少なくない
日本看護協会の調査では、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%でした。新卒採用者は8.4%、既卒採用者は16.1%です。
※出典:日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月公表。労働政策研究・研修機構の紹介記事)
職場を変えることは、看護師のキャリアの中で珍しいことではありません。「転職を考えている自分はダメなのでは」と思い詰めなくて大丈夫です。
何月がいい?1年の中で見た転職の時期
ここでは、1年の流れの中で一般的に言われている傾向を紹介します。実際の求人の数は地域や職場によって違うので、目安として参考にしてください。
4月入職を目指す場合(前年の秋〜冬に動く)
病院は新年度の4月に人員を入れ替えることが多く、4月入職を前提にした採用が行われやすい時期です。新人看護師と同じ時期に入職するため、研修や教育の流れに乗りやすいという面もあります。
4月入職を目指すなら、前年の秋から冬にかけて情報収集と応募を進めるのが一般的です。年度末は今の職場も忙しくなるので、早めに準備しておくと安心です。
ボーナスの後(夏・冬)
賞与(ボーナス)を受け取ってから退職したいと考える人は多く、夏や冬のボーナスの後は退職者が出やすい時期と言われます。その分、欠員を補充するための求人が出やすくなります。
ただし、ボーナスには「支給日に在籍していること」などの条件がある場合があります。支給の条件は職場によって違うので、就業規則や給与規程で必ず確認しておきましょう。分からない場合は、事務部門に問い合わせるのが確実です。
年度の途中(欠員補充の時期)
クリニックや訪問看護ステーション、介護施設などは、病院ほど採用の時期が決まっておらず、欠員が出たときに募集することが多い職場です。年度の途中でも、希望に合う求人が見つかることがあります。
月ごとの目安
| 時期 | 一般的な傾向 | 動くときのポイント |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 4月入職に向けた採用が進む | 年度末の引き継ぎと並行するので、早めに準備する |
| 4〜5月 | 新人の入職・研修で現場が忙しい | 情報収集や自己分析に時間を使いやすい |
| 6〜8月 | 夏のボーナス後の退職者が出やすい | 欠員補充の求人をチェックする |
| 9〜11月 | 年末や翌年4月入職に向けた募集が出始める | 4月入職を目指すなら応募を進める |
| 12月 | 冬のボーナス後の退職、年末年始で選考が止まりやすい | 面接の日程に余裕を持たせる |
何年目がいい?経験年数別の考え方
転職のタイミングは、経験年数によっても考え方が変わります。
1年目
1年目は、看護の基礎を身につける時期です。教育体制の整った職場で経験を積めるメリットは大きく、応募できる求人が限られることもあります。
一方で、心身の不調が出ている場合や、パワハラなど職場に明らかな問題がある場合は、無理に続ける必要はありません。
関連記事:新人看護師が辞めたいと思ったら|1年目のつらさの理由と辞める前に考えること・相談先
2〜3年目
ひととおりの業務ができるようになり、自分の得意なことや、合わないことが見えてくる時期です。「同じ職場で3年は働いたほうがよい」という考え方もありますが、法律などで決まっているわけではありません。3年ほど経験を積むと応募できる求人の幅が広がりやすいので、急ぐ理由がなければ、3年をひとつの目安にする人もいます。
4〜9年目
経験とスキルが評価されやすく、希望の条件を伝えやすい時期です。リーダー業務や後輩指導の経験があれば、転職先でもアピールできます。結婚や出産などのライフイベントが重なりやすい時期でもあります。
関連記事:30代看護師の転職は遅くない?30代前半・後半の違いとおすすめの転職先・進め方
10年目以降
経験年数が長いと、即戦力としての期待や、指導者・管理職としての役割を求められることがあります。キャリアの方向性(専門性を深める、働き方を変える、看護師以外の仕事を考えるなど)の選択肢を整理してから動くと、転職先を選びやすくなります。
ライフイベントと転職のタイミング
結婚、出産、子育て、引っ越し、家族の介護など、生活の変化は転職を考える大きなきっかけになります。
わたしが転職を考え始めたきっかけ
わたしが働き方に悩み始めたのは、2016年に第1子を出産してからでした。夫が船乗りで数か月家を空けるため、夜勤が難しくなったのです。
夜勤免除を申請したり、夫の休暇中に夜勤に入ったりして調整していましたが、夜勤免除については周りへの引け目を強く感じていました。
当時は「別の職場に看護師として転職する」ことが第一候補でした。ただ、給料面の不安や、環境を変えることへの不安があって、決めきれないまま約7〜8年悩み続けました。誰にも相談しませんでした。今振り返ると、あの期間も自分には必要な期間だったと思っています。
ライフイベント別の考え方
| ライフイベント | タイミングの考え方 |
|---|---|
| 結婚・引っ越し | 通勤や勤務形態が変わる前に、新しい生活に合う職場を探しておく |
| 妊娠・出産 | 産休・育休の制度は勤続期間などの条件を確認する。転職の時期は、職場の制度を調べてから決める |
| 子育て | 夜勤の有無、残業の少なさ、オンコールの有無、急な休みへの理解など、両立できる条件を優先する |
| 家族の介護 | 勤務時間の調整がしやすい職場や、介護休業の制度を確認する |
産休・育休や子育て中の制度の使い方は、条件によって変わります。詳しくは職場の事務部門や、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:看護師が子育てと両立する方法|使える制度と働き方の選び方を元看護師が解説
今すぐ動いたほうがいいサイン
次のような状態が続いているなら、時期にこだわらず、自分を守ることを優先してください。
- 眠れない、食欲がない、朝起きられない状態が続いている
- 仕事に行こうとすると、体調が悪くなる
- パワハラやいじめなど、職場に明らかな問題がある
- 休みの希望がまったく通らず、休めない状態が続いている
心や体に不調が出ているときは、まず休むこと、そして心療内科などの医療機関や産業医に相談することを優先してください。判断力が落ちているときに、転職先を急いで決める必要はありません。
※参考:厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
転職活動のスケジュールは「入職したい月」から逆算する
転職活動は、情報収集から入職まで、数か月かかるのが一般的です。入職したい月を決めたら、そこから逆算してスケジュールを立てましょう。
転職活動の流れ
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 自己分析 | 転職の理由、次の職場で叶えたいこと、譲れない条件を書き出す |
| 2. 情報収集 | 求人を見る、職場の情報を集める、条件を比べる |
| 3. 応募・見学 | 履歴書・職務経歴書を準備し、職場見学や面接を受ける |
| 4. 内定・条件確認 | 給与の内訳、勤務形態、入職日を確認する |
| 5. 退職の手続き | 師長に退職の意思を伝え、引き継ぎ、有給休暇の消化 |
| 6. 入職 | 新しい職場で働き始める |
退職の手続きには余裕を持つ
法律(民法627条)では、期間の定めのない雇用の場合、退職を申し出てから2週間で雇用は終了するとされています。ただ、多くの病院では就業規則で「退職の1か月前までに申し出る」などと決められていて、シフトや後任の調整にも時間がかかります。
※出典:e-Gov法令検索「民法」(第627条第1項)
わたしは2024年4月ごろに当時の師長に退職の意思を伝えました。最初は秋ごろに辞める想定でしたが、時期が後ろにずれて、最終的な退職は2024年12月でした。何回か引き止められましたが、「気持ちは変わらない」と伝えて結論は変えませんでした。
退職日は、自分の希望どおりに決まるとは限りません。転職先の入職日を決めるときは、今の職場の就業規則と、退職までにかかる期間を見込んでおきましょう。
関連記事:看護師の退職届の書き方|テンプレートと渡し方、円満に辞める手順
在職中に転職活動を始める
辞めてから転職先を探すと、収入のない期間ができ、焦って条件に妥協してしまいがちです。できるだけ、今の職場で働きながら転職活動を進めるのがおすすめです。
忙しい中で時間を作るのは大変ですが、情報収集だけでも先に始めておくと、いざ動くときに判断が早くなります。
退職を伝えるタイミングと伝え方
伝えるのは「内定が出てから」が基本
転職先が決まる前に退職を伝えると、次の職場が決まらないまま退職日が近づいてしまうことがあります。内定をもらい、入職日の目安が見えてから伝えるのが一般的です。
最初に伝える相手は直属の上司
最初に伝えるのは、直属の上司(師長)です。同僚に先に話すと、うわさで上司に伝わってしまうこともあります。忙しい時間帯を避けて、落ち着いて話せる時間をもらいましょう。
繁忙期や人員の少ない時期への配慮
年度末や、ほかの退職者が重なる時期は、職場の負担が大きくなります。可能な範囲で、引き継ぎの期間を長めにとるなどの配慮をすると、円満に辞めやすくなります。
退職理由の伝え方に迷ったら、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:看護師の退職理由の伝え方|師長・退職届・面接で書き分ける例文と本音の伝え方
転職のタイミングを逃さないために、今からできる準備
「いつか転職したい」と思っているなら、次のような準備は今から始められます。
準備のチェックリスト
- 転職したい理由と、次の職場で叶えたいことを書き出した
- 譲れない条件を2〜3個に絞った
- 今の職場の就業規則で、退職を申し出る期限を確認した
- ボーナスの支給条件(支給日在籍の要件など)を確認した
- 有給休暇の残りの日数を確認した
- これまでの経験(診療科、担当した業務、リーダー経験など)を整理した
- 理想の働き方と、そのために必要なスキルや資格を考えた
情報収集の方法
求人の探し方には、病院のホームページ、ハローワーク、ナースセンター、看護師向けの転職サイト・転職エージェントなどがあります。
転職エージェントの担当者は、求人票だけでは分からない職場の情報を知っていることがあり、応募のタイミングや面接の日程調整を相談できるサービスもあります。
ひなたの友人(看護師)は、転職エージェントの担当者から、訪問看護や外来など、いろいろな職場の話を聞けたことがとても良かったと話していました。子育てがあるため、最終的にオンコールのない病院の外来を選んだそうです。担当者との相性が大事だとも話していました。
転職サービスを活用するときも、担当者にすすめられた時期や求人に流されず、自分で決めた優先順位で判断することが大切です。
関連記事:看護師の転職サイトは使わない方がいい?言われる理由と仕組み・上手な使い方
よくある質問
Q. 看護師の転職のタイミングは、何月がベストですか? A. 一般的には、4月入職を目指して前年の秋〜冬に動く人や、ボーナスの後に退職する人が多いと言われます。ただ、クリニックや訪問看護など年度の途中でも募集がある職場も多いので、「自分が動ける時期」から逆算して考えるのがおすすめです。
Q. 看護師の転職は何年目が多いですか? A. ひととおりの業務を経験した3年目前後や、ライフイベントが重なる時期に転職を検討する人が多いと言われます。何年目であっても、転職の理由と次の職場で叶えたいことを説明できれば、選考で不利になるとは限りません。
Q. 面接で「いつから働けますか」と聞かれたら、どう答えればいいですか? A. 今の職場の就業規則で決められた退職の申し出期限と、引き継ぎに必要な期間を考えて、現実的な時期を伝えましょう。「内定をいただいてから◯か月後」のように答えると、相手も予定を立てやすくなります。
Q. 転職に踏み切れないときは、どうすればいいですか? A. いきなり応募しなくても、求人を見たり、条件を比べたりする情報収集から始めて大丈夫です。わたしも長い間決めきれずに悩みました。行動してみて分かることもあるので、小さな一歩から始めてみてください。
Q. 転職先が決まってから退職を伝えても大丈夫ですか? A. はい。在職中に転職活動を進め、内定が出てから退職を伝えるのが一般的です。ただし、入職日は今の職場の退職日に合わせて調整する必要があるので、転職先には早めに相談しておきましょう。
まとめ
- 看護師の転職タイミングは「職場側の都合」と「自分の都合」の2つの軸で考える
- 4月入職を目指すなら前年の秋〜冬、ボーナスの後は欠員補充の求人が出やすいと言われる
- 経験年数やライフイベントによって、考え方や優先する条件は変わる
- 心や体に不調があるときは、時期にこだわらず、まず休んで受診する
- 入職したい月から逆算し、退職の手続きにかかる期間も見込んで、在職中に準備を始める
志望動機の準備や、転職で失敗しないためのポイントは、こちらの記事にまとめています。
関連記事:看護師の転職の志望動機の書き方|職場別の例文と履歴書・面接で伝えるコツ