「日勤より少ない日数で、しっかり稼げるって本当?」 「夜勤だけの働き方は、体がもつのかな」
夜勤専従の求人を見て、気になっている人もいるでしょう。高い給与が目に入りやすい一方で、体への負担や、生活リズムの変化が心配になる働き方でもあります。
わたしは病院で約14年働き、病棟では3交代制で、多い月には8回の夜勤に入っていました。この記事では、そのときの経験もまじえながら、夜勤専従看護師について次のことをまとめます。
- 夜勤専従看護師とは何か、勤務回数の目安
- 仕事内容と1日(1回の夜勤)の流れ
- 給料の考え方と、メリット・デメリット
- 「きつい」と言われる理由と、体を守るための工夫
- 夜勤専従に向いている人と、求人を選ぶときのチェックポイント
夜勤専従看護師とは|夜勤だけを担当する看護師
夜勤専従看護師とは、日勤には入らず、夜勤の時間帯だけを担当する看護師のことです。病院の病棟のほか、介護施設や有料老人ホームなどでも募集があります。
雇用形態は大きく分けて、常勤(正社員)として働く「夜勤専従常勤」と、パート・アルバイトとして決まった日に夜勤に入る「非常勤」の2つです。
| 働き方 | 特徴 |
|---|---|
| 夜勤専従常勤 | 月に決まった回数の夜勤に入る。賞与や社会保険などの待遇は常勤と同じ扱いの職場が多い |
| 非常勤(パート・アルバイト) | 週1回など、自分の希望に合わせて夜勤に入る。副業やダブルワークで働く人もいる |
| 単発の夜勤 | 1回ごとに契約して働く。派遣の場合は法律上の制限がある |
単発の夜勤を派遣で探す場合は、日雇い派遣の禁止とその例外にあたるかどうかを確認する必要があります。詳しくは次の記事をご覧ください。
関連記事:看護師の単発派遣とは?禁止の例外・働ける職場と単発バイトとの違い
夜勤専従は月に何回くらい?
勤務回数は職場によって違いますが、常勤の求人を見ると、2交代制(16時間前後の夜勤)で月に9〜10回前後の募集が多く見られます。日勤と夜勤を組み合わせて働く場合と比べると、出勤する日数は少なくなるのが一般的です。
夜勤専従でも、労働基準法の労働時間のルールは適用されます。勤務回数や1回の勤務時間、休憩・仮眠の時間は、必ず求人票や雇用契約書で確認しましょう。
夜勤専従看護師の仕事内容
仕事内容は、基本的には病棟の夜勤と同じです。日勤帯に比べて看護師の人数が少ないため、限られた人数で病棟全体を見ることになります。
| 仕事 | 主な内容 |
|---|---|
| 申し送り・情報収集 | 日勤からの申し送りを受け、受け持ち患者さんの状態を把握する |
| 夕方〜夜の看護 | 夕食の介助、与薬、点滴の管理、就寝前のケア |
| 夜間の巡視 | 定期的に病室を回り、患者さんの睡眠や状態を確認する |
| 急変・入院への対応 | 急変時の初期対応と医師への報告、夜間の緊急入院の受け入れ |
| 早朝の看護 | 採血、検温、起床時のケア、朝食の準備 |
| 記録・申し送り | 夜間の経過を記録し、日勤の看護師に申し送る |
夜勤専従看護師の1回の勤務の流れ(2交代制の例)
| 時間 | 仕事の例 |
|---|---|
| 16:00 | 出勤。日勤からの申し送り、患者さんの情報収集 |
| 17:00 | 検温、夕方の与薬や処置 |
| 18:00 | 夕食の介助、食後の与薬 |
| 21:00 | 就寝前のケア、消灯。巡視を始める |
| 0:00〜 | 交代で休憩・仮眠。そのほかは巡視やナースコールへの対応、記録 |
| 6:00 | 採血、検温、起床時のケア |
| 8:00 | 朝食の介助、記録の整理 |
| 9:00 | 日勤への申し送り。退勤 |
夜間は医師や他の職種が少ないため、患者さんの状態の変化に気づき、優先順位をつけて動く力が求められます。
夜勤専従看護師の給料の考え方
夜勤専従の給与は、基本給に、夜勤1回ごとの手当が上乗せされる形が一般的です。夜勤の回数が多いほど手当も増えるため、日勤と夜勤を組み合わせて働く場合より、月収が高くなることがあります。
労働基準法では、22時から翌朝5時までの深夜に働いた分について、25%以上の割増賃金を支払うことが定められています。夜勤手当とは別に、この深夜割増がどう扱われているかも確認しておきたいポイントです。
求人を比べるときは、次の点に注目しましょう。
- 月給に何回分の夜勤手当が含まれているか:「月給◯万円(夜勤10回分の手当を含む)」のような書き方の場合、回数が減ると月収も下がります
- 夜勤1回あたりの手当の金額:同じ回数でも、手当の額で月収が大きく変わります
- 賞与の計算方法:賞与が基本給をもとに計算される場合、夜勤手当の多さは賞与に反映されないことがあります
- 体調を崩したときの扱い:休んだ分だけ収入が減りやすい働き方である点も考えておきましょう
夜勤手当の金額の目安や、夜勤をやめたときに年収がどう変わるかは、次の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:看護師が夜勤なしで働くと年収はどう変わる?夜勤手当の差と日勤のみの職場
夜勤専従看護師のメリット・デメリット
メリット
- 少ない出勤日数で収入を得やすい:夜勤手当がつくため、日勤中心の働き方より効率よく稼げることがあります
- 日中の時間を使える:夜勤明けや休みの日に、役所や銀行、病院などの用事を済ませやすくなります
- 連休を作りやすい:勤務の組み方によっては、まとまった休みを取りやすい職場もあります
- 日中の会議や委員会が少ない:日勤帯の業務に関わる機会が減り、看護に集中しやすいと感じる人もいます
デメリット
- 体への負担が大きい:昼夜が逆転した生活が続くため、睡眠や体調の管理が難しくなります
- 家族や友人と生活時間がずれる:家族と過ごす時間や、人と会う予定が合わせにくくなります
- 患者さんの日中の様子がわかりにくい:日勤帯の治療や検査の流れを、申し送りや記録から把握する必要があります
- キャリアの幅が広がりにくい:日勤の業務や教育、委員会に関わる機会が少ないため、経験の幅が限られることもあります
夜勤専従は「きつい」?体への負担と向き合う
夜勤専従について調べると、「きつい」という声も少なくありません。いちばんの理由は、やはり体への負担でしょう。
わたしは夜勤専従ではありませんでしたが、病棟で夜勤に入っていたころ、仮眠をとっても強い眠気に襲われることがありました。命を預かる立場として、「このままで大丈夫だろうか」と不安を感じたのを覚えています。夜勤だけを続ける働き方では、こうした負担と長く付き合っていくことになるでしょう。
深夜業に従事する人の健康診断
労働安全衛生規則では、深夜業を含む業務に常に従事する労働者は「特定業務従事者」として、その業務への配置替えのときと、6か月以内ごとに1回、健康診断を受けることになっています。通常の年1回の健康診断より回数が多いのは、それだけ体への影響に配慮が必要な働き方だからです。
参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」(PDF)
体を守るための工夫
- 睡眠の時間と環境を決める:夜勤明けに眠る時間帯をある程度固定し、遮光カーテンなどで部屋を暗くする
- 夜勤前の過ごし方を整える:出勤前に仮眠をとるなど、自分に合ったリズムを見つける
- 食事のタイミングを意識する:夜間の食べすぎを避け、規則的に食べるよう心がける
- 健康診断を必ず受ける:体調の変化を見逃さないよう、結果を確認して必要なら受診する
- 無理だと感じたら働き方を見直す:夜勤の回数を減らす、日勤中心の働き方に移るなどの選択肢も考える
「つらいけれど、収入のために続けなければ」と追い込まれる前に、働き方を変える選択肢があることも知っておいてください。
関連記事:看護師の仕事に疲れたときの対処法|原因別の休み方と働き方の変え方
夜勤専従看護師に向いている人・向いていない人
向いている人
- 夜型の生活リズムが苦にならない人
- 短期間で集中して収入を増やしたい人
- 日中の時間を、勉強や家族の予定、副業などに使いたい人
- 少ない人数でも、落ち着いて判断して動ける人
- 病棟での夜勤の経験があり、急変時の対応に慣れている人
向いていない人
- 睡眠のリズムが崩れると体調を崩しやすい人
- 家族と過ごす夜の時間を大切にしたい人
- 日勤の業務や教育などを通して、キャリアの幅を広げたい人
- 臨床経験が浅く、夜間に相談できる相手がいないと不安な人
子育て中の人は、夜間に子どもを見てくれる家族がいるかどうかも大きなポイントになります。両立の方法は、こちらの記事でまとめています。
関連記事:看護師が子育てと両立する方法|使える制度と働き方の選び方を元看護師が解説
夜勤専従の求人を選ぶときのチェックリスト
応募する前に、次の点を確認しておきましょう。
- ☐ 月の夜勤回数と、1回の勤務時間(2交代か3交代か)
- ☐ 休憩・仮眠の時間と、仮眠室があるか
- ☐ 夜勤1回あたりの手当と、月給に含まれる回数
- ☐ 夜勤帯の看護師の人数と、看護補助者の有無
- ☐ 夜間の医師の体制(当直医がいるか、オンコールか)
- ☐ 病棟の特徴(急性期か慢性期か、夜間の緊急入院の多さ)
- ☐ 賞与・社会保険などの待遇
- ☐ 体調を崩したときに、日勤に移るなど働き方を変えられるか
とくに夜勤帯の人数と仮眠の取りやすさは、体への負担に直結します。可能であれば、面接のときに病棟の夜間の様子を聞いておくと安心です。
関連記事:看護師が転職で失敗しないために|よくある失敗例と転職前に確認したいこと
よくある質問
Q. 夜勤専従看護師は月に何回まで働けますか? A. 法律で「月◯回まで」と回数が決まっているわけではありませんが、労働基準法の労働時間のルールは適用されます。求人では月9〜10回前後の募集が多く見られるため、回数と1回の勤務時間をあわせて確認しましょう。
Q. 夜勤専従看護師は本当に稼げますか? A. 夜勤手当がつく分、日勤中心の働き方より月収が高くなることがあります。ただし、月給に含まれる夜勤の回数や手当の額、賞与の計算方法によって年収は大きく変わるため、条件を比べて判断することが大切です。
Q. 夜勤専従看護師は何歳まで働けますか? A. 年齢の決まりはありません。ただ、年齢とともに夜勤の負担を感じやすくなる人もいます。健康診断の結果や体調をみながら、続けられるかどうかを判断しましょう。
Q. 臨床経験が浅くても夜勤専従になれますか? A. 応募できる求人もありますが、夜間は少ない人数で急変などに対応する必要があります。病棟での夜勤の経験を条件にしている求人も多いため、まずは日勤と夜勤を組み合わせた働き方で経験を積むのも一つの方法です。
Q. 看護師の仕事を続けながら、副業として夜勤に入ることはできますか? A. 勤務先の就業規則で副業が認められていれば可能です。ただし、本業と合わせた労働時間が長くなりすぎないよう、体調に十分注意してください。
関連記事:看護師におすすめの副業|資格を活かす仕事・在宅でできる仕事と始める前の注意点
まとめ
- 夜勤専従看護師は、夜勤の時間帯だけを担当する看護師
- 常勤の求人では、2交代制で月9〜10回前後の募集が多い
- 夜勤手当がつくため、少ない出勤日数で収入を得やすい
- 昼夜逆転による体への負担が大きく、深夜業に従事する人は6か月以内ごとの健康診断の対象になる
- 求人を選ぶときは、夜勤帯の人数や仮眠の取りやすさ、給与の内訳を確認する
夜勤専従は、収入面でも時間の使い方でもメリットがある一方で、体と向き合いながら続ける働き方です。自分の生活や体調に合うかを考えたうえで、無理のない働き方を選んでください。
